tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費増税成立、それでどうなる?

2012年08月11日 11時47分57秒 | 経済
消費増税成立、それでどうなる?
 8月10日、消費税の増税が決まりました。2014年4月から8パーセント、15年10月から10パーセントです。
 財政健全化は土光臨調以来の大蔵省・財務省の悲願と言えばそうなのかもしれません。安住財務相が財務省担当部局に「あまり大喜びするな」といったという報道もありましたが、これで一体日本経済はどうなるのでしょうか。

 2つの可能性があるような気がしています。
 1つは、消費増税が社会保障の財源に当てられ、財政の健全化が進む可能性です。この場合は多分、国民の生活防衛意識から消費が伸び悩み、貯蓄が増えるでしょう。景気は減速し、国際経常収支の黒字幅は増加する可能性が高いように思われます。

 財務省にすれば、長年の思いが叶ったという事かもしれません。しかしそれで済まない可能性が出て来ると思います。日本の財政健全化を読んだ国際投機資本の円買い、結果的に円高傾向の発生です。
 これは日本経済を、更なる円高→デフレのスパイラルに陥れることになりそうです。

 もう1つは、すでに、いろいろな動きがあるようですが、消費増税で財政に余裕が発生します。それだけ国債発行を減らすことが財政健全化ですが、それを考えているのは多分財務省だけで、他の省庁はその分を当てにして、すでにいろいろ報道されていますが、高速道路、新幹線、老朽化したインフラの改修を始め、その余裕を財源として、「何に使おうか」と手ぐすね引いているでしょう。

 野田総理は、「増税分はすべて社会保障費」と言っていますが、それで出来た余裕については何も言っていません。国民の生活防衛意識で貯蓄が増えれば、国債発行の余地は増えます。増税はすべて社会保障費に使った、それでお金が浮いたからそのお金を使った、という落語のようなやりとりで、財政健全化は雲散霧消という可能性です。

 しかし、円高防止策としては、この方が良いのかもしれません。消費増税をしても、日本の財政赤字は増えこそすれ減らない、という事になるからです。
 生真面目な日本人は、多分、我慢の貯蓄で財政赤字を支えるでしょう。財務省は糠喜びだったことに気づき、新たな消費増税案に意欲を燃やすでしょう。

 これだけの大騒ぎをして日本は一体何をしているのでしょう。国際投機資本が跳梁することに文句も言えず、国民の勤勉さを宛にして、政治家と官僚が、徒にコップの中で、政(政治・政策)争を繰り返す黒字国日本の「喜劇のような悲劇」というところでしょうか。