tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米、EU、経済立て直しに必要なこと:金融問題

2011年12月29日 12時18分21秒 | 経済
米、EU、経済立て直しに必要なこと:金融問題
 先日「経済にただの昼飯はない」と書きましたが、どんなに理屈をつけ、経済理論を振りかざしてみても、結局は、他人に迷惑を掛けない限り、人間は「稼ぎ」以上の生活はできないのです。それが実体経済で、極めて解り易いものです。

 ところで、金融問題をこれに加えますと、いろいろなバリエーションが可能になります。
 まず、通常の貸し借りですと、足りない分を借りて、利息を付けて返す、すぐに返せなくても、結局は何らかの形で弁済することになるわけで、踏み倒すのは大変なことです。これも解り易いと思います。

 これに、レバレッジとデリバティブを加えますと、想定の貸し借りの額は実際の貸し借りの額を何倍も何十倍も上回り、その中でリスクに応じて変化する利率や為替を利用して、貸し借りの当事者でなくても、巨大なキャピタルゲインをあげることが可能になります。

 言い換えれば、こうした金融手法を使えば、他人の経済問題を利用して第三者が「あぶく銭」を得ることが可能になり、投資銀行などはそのために金融工学を駆使することになります。

 しかしたとえ成功しても、キャピタルゲインは「実際の価値を創る」のではなく、「評価額の増減を振替える」だけですから、実体経済とは別に、それより大きな「損失と利益」が「どこか」あるいは「あちこちで」起きるということになります。
 儲ければ山分け、損すれば国が救済といったことが既に何度も起こっています。

 こうした金融取引は、実体経済に貢献することはなく、実体経済上の問題を利用し、混乱を増幅するだけですからFSB などによる規制が必要になるのですが、それがなかなか徹底しないというのは、それで儲けて実体経済の赤字を少しでも穴埋めしようという思惑が働くからでしょうか。

 人間は実体経済の中で暮らしているのですから、実体経済を誰にも解り易くし、問題をできるだけ早く是正できるようにしべきでしょう。そのためにも、赤字になったら、借金で凌ぐのではなく、早く赤字を正す気になるよう、過度な金融利用は止めるべきで、実体経済の是正策とともに、あるいはそれに先んじて、「行き過ぎた」金融活動の是正をしなければなりません。

 これを主導すべきは、まず、基軸通貨国で赤字を垂れ流アメリカでなければならないでしょう。