tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

企業経営とマクロ経済:株式会社の役割

2010年11月14日 20時44分24秒 | 経済
企業経営とマクロ経済:株式会社の役割
 企業経営とマクロ経済とは最近の学問分野では「経営学」と「経済学」ということで別の分野のように見られがちです。学問が細分化、専門化して、大学などでお仕事をされる方々の視野が狭くなりがちという問題点が言われたりします。

 そうした問題意識からでしょうか。他方ではインターディシプリナリーとか、ホリスティック・アプローチとかいって、全体を広く見たほうが良いのだという事もいわれます。
 もともとは、自然現象でも社会現象でも境目があるわけではありません。そうした意味では、何はともあれ、経営と経済ぐらいは、一緒に見ていった方が良いような気がしています。

 ところで、このところ日本経済は、円高で大変ですが、円高で困っているのは実は企業です。円高によるコスト高で企業が困っているから、企業で構成されている日本経済が困っていると表現されるということでしょう。

 企業は経済活動の中で、生産や分配を担当して、経済成長を進めています。経済が発展するようになったのは、企業(典型的には株式会社)が発達したころによるようです。
 中世には、モノやサービスの生産は家族単位、家族営業が中心でした。毎年同じことの繰り返しで、「経済成長」などという概念はなく、何百年もゼロ成長が当たり前だったようです。

 ところが産業革命以来、経済は成長するもの、社会の富 (国富論の国富、今の言葉ならGDP) が増えて、社会は年々豊かになるのが当たり前になりました。

 与って力があったのは「技術革新」と「株式会社の発達」でしょう。ジェームス・ワットの発明による蒸気機関を活用して紡績業を興したり、蒸気機関車が走って、鉄道が発達するようになったのは株式会社というシステムが発達したからにほかなりません。
 家内工業の機屋は紡績会社になり、運送を受け持つ便利屋は鉄道会社になったのです。

 経済システムとしては、家族営業より株式会社のほうが格段に優れているのは歴然です。われわれはその恩恵をフルに享受しています。

 ところが、今の日本で、相変わらず、中世以来の家族営業が中心の分野があります。「農業」です。何故農業だけ中世のままになっているのでしょうか。
 これを考えるには経済と経営だけではダメで、政治も一緒に見ないといけないようです。

 APEC、G20論議、TPP、FTA交渉などで、日本が一番困っているのがこの問題のようですね。