tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政治と経済、選挙の意義

2010年11月05日 21時37分07秒 | 経済
政治と経済、選挙の意義
 先に日本では衆院選で民主党が敗れ、ねじれ国会になりました。今度はアメリカで、中間選挙でオバマ政権が苦杯を喫し、下院では共和党が過半数を占めました。2年前、民主党が大勝したのはなんだったんでしょうか。

 tnlabo's blog の筆者如きがこんな大それた問題を論じるのはおこがましい限りかとも思いますが、経済と政治の問題は本当に難しいという思いから、つい、書いてしまいました。

 オバマ大統領就任の時、Change! Yes,we can. はいいけれど、何をどうChange するのかが解らないと書きました。あの時アメリカは、サブプラムローンの証券化という方法で世界中に不良債券をばら撒き、アメリカの証券の信用は失墜して、それまでのように世界中のお金で、アメリカの経常収支の赤字をファイナンスすることは多分もう不可能と解っていました。

 グリーンスパン・マジックというのは、金融操作で長期に緩やかな住宅バブルを起こし、住宅モーゲージローンという制度を完備して、過剰消費で景気を維持し、生じた経常赤字は「世界が信用している」アメリカの証券、債券でファイナンスするというものだったのでしょう。

 サブプライム問題で毀損したアメリカの証券・債券への信用は、いずれ、過剰消費を不可能にし、アメリカ経済は経常赤字を縮小する調整過程に入らざるを得ないことは見えていました。
 バブルはいつか破裂します。サブプライム層のやり場のない怒りは、世論に増幅され、民主党の圧勝、アメリカの政権交代を演出したのでしょう。

 オバマ政権は、政策というより、現状への不満の結果誕生した感が強いように思います。しかしこの不満の源は過剰消費 ですから、不満を持っているアメリカ人自身が、分相応の生活に戻ることでしか解決されません。

 しかしオバマさんは、「アメリカ人よ、過剰消費はやめて、収入相応の生活をいよう」とはいえないでしょう。「何とか景気を良くします」といってバーナンキさんと、一生懸命やってみたが、背伸びしたままでは、次のジャンプは出来ません。経済の現実はアメリカ国民に、一度膝を曲げることを要求します。

 膝を曲げないで(生活レベルを落とさず、経常赤字のままで)何とか済ませたいアメリカ人は「政策が悪い」と民主党を見限ることになります。 経済と政治はこんな風に関係してくるようです。

 経済の中身は違いますが、前回の日本の民主党の圧勝と、今回の惨敗も。良く似ているように思います。1980年前後の、アメリカ、イギリス、フランスの政権交代 も、misery indexの仕業でしょう。問題は、新しい政権が、国民にどこまで真実を伝えられるかにかかっているようです。