tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マネーと実体経済

2008年10月06日 14時52分33秒 | 経済
マネーと実体経済
 行き過ぎたマネー・金融の世界の崩壊が、実体経済にも悪影響を与えることが心配される段階になった、といった表現がマスコミの中にも見られます。

このブログでも、本来、実体経済に対する潤滑油として、実体経済に役立つのが役割であるべき金融が、モンスターのように大きくなって、実体経済を無視した勝手な振る舞いに及び、挙句の果てには、実体経済に大きな迷惑をかけるというのであれば、それは本末転倒だということを指摘してきたつもりです。

 かつて、共産主義が、心情的には正義に見え、理論的にも正しいといわれながら、現実世界においては、結局は全体主義、独裁主義にしかならない、ということを70年かけて実証し、崩壊し去りました。世の中には、「事、志と違う」ことが良くあります。

 同じように、金融資本主義は、人々の経済的欲望の手近な実現策と思われ、理論的には、実体経済の積極的な活動を促進する役割を果たすと主張しながら、現実世界においては、実体経済の創出した富を、恣意的に再配分するテクニークに堕し、実体経済を道連れに崩壊する事しか出来なかった、ということを、みずから実証して見せたのではないでしょうか。

 金融機関が国有化され、時価会計は当面停止され、今日の金融システムを野放しにすれば、自由経済の下では機能しないだけでなく、マイナスの役割を演じてしまうことが解ってしまった今、自由主義経済社会は、「実体経済に奉仕する金融システム」という本来の意義に立ち帰って、金融制度を基本的にやり直すことを求められていると考えるべきではないでしょうか。