tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

雇用の発生

2007年09月08日 11時07分58秒 | 労働
雇用の発生の条件
 アメリカではサブプライムローンに関係した金融や建設などの企業の人員削減で雇用が4年ぶりに減少に転じたと報道されています。幸いなことに日本では、新卒求人に典型的に見られるように現状、雇用は堅調です。しかしアメリカ経済の影響を受けやすい日本ですので、先行き心配もあります。

 どこの政府も雇用の拡大を最重要な政策目標の1つに掲げていますが、では、雇用の発生の条件とは何でしょうか。

 端的に言って、その人が「給料以上に稼いでくれる」可能性が大きければ、その人は雇用されるでしょう。給料分だけ稼いでくれるのではだめで、給料プラス資本費(利益や借入金の利息や減価償却費など)の分も稼いでくれないと企業は存続していけません。通常、付加価値(稼ぎ)の7割以上を人件費に払うようでは企業はキツキツで、60パーセント台になると何とか一息というところでしょうか(この7割とか60パーセントというのが「労働分配率」です)。

 不況になると、売り上げも落ち、企業の生産する付加価値も減りますから、人件費も減らさなければ企業はやっていけません。そういうわけで、アメリカでは不況になると従業員を削減します。いわゆるリストラです。当然失業率が増えて、不安が増大します。

 日本では以前は、残業やボーナスを減らしたり、一時的に賃金をカットしたりして人件費を削減してしのぐことが多かったのですが、長期不況の中で、人員削減も見られました。同時に日本の場合は、正規従業員を非正規従業員に置き替え、平均賃金水準を下げるという方策も採られました。おかげで、日本の失業率は欧米のように上がらずにすみました。しかし「格差社会」といわれる問題を残したことも事実です。

 雇用問題は社会問題としては非常に複雑ですが、「私は100稼ぎますが、60から70頂ければ結構です」ということになると通常、雇用は成立するということでしょうか。
 ところで私は一体いくらぐらい稼げるのかな?