tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ワークライフバランスに必要なもの

2007年04月21日 12時38分19秒 | インポート
ワーク・ライフ・バランスに必要なもの
 この2-3年「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がはやっています。もともとが英語ですから欧米から輸入された言葉ですが、日本語で言えば、「仕事と生活のバランス」ということになります。
 欧米各国でも、この問題は少子化と一緒に論じられる場合が多いようで、「働きながら十分子育てが出来るような労働時間や仕事の仕方が必要」といった形で論じられます。そこから企業に対して「育児休業」とか「子育てのための休暇制度」とか「男性も育児休業を取りましょう」とかいった形で、仕事が家庭生活を圧迫しないようにしましょうといったキャンペーンや法律制度の導入になっているわけです。
 ところで、これが日本に来ると、もっとも大きな問題は、昔から指摘されている「長時間労働」をどうするかといったことになってきます。
 もともとワーク・ライフ・バランスは「社会のための仕事の時間(欧米では所得を得るための時間というかもしれません)」と「自分としての私的な時間」とのバランスをどうとるか、という問題でしょう。日本人はこのバランスのとり方が下手です。放っておけばどんどん仕事のほうに傾斜していってしまいます。仕事は社会のためだという大義名分の安心感があるからでしょうか。
 政策として「ワーク・ライフ・バランス」を掲げている官庁や労働組合や経済団体のエリートたちは、「5時になったから失礼します」などといったことは考えられないようで、男性女性を問わず、夜中まで仕事をすることに生きがいを感じているようです。
 日本人のこの仕事に対する真剣な態度は、大変大事だと思います。自分中心ではなく、社会の役に立つことのほうを重視しようという素晴らしい考え方です。だからといって、その負担を全部家族にかけてしまっているようでは、本当のワーク・ライフ・バランスは取れていないということでしょう。
 良いワーク・ライフ・バランス実現には、法律や制度も必要でしょう。しかし最後の決め手は、それぞれの個人が、仕事の意義と、自分を含めた家族の生活とをいかに適切に判断するかという個人の意識の問題に帰着しそうです。
 人間としてどう生きるか。そのための適切なバランス感覚を養うような、人間としてのバランスの取れた教育が必要なようです。