時宜にあった好著、さすが「岩波書店」と改めて確認した二冊の本
一つはテレビ番組として放映された記録を、そしてもう一つは新聞に連載連載記事を、各々書籍とした二冊の本。この二冊の本はいずれも今年の入って岩波書店から出版されたものだ。
「岩波書店」と言えば、同社の夏目漱石全集や芥川龍之介全集が我が書棚に並んでいるのだが、私的には「出版界の良心」という感じで受け止めている。そして、その二冊の本はまさに時宜にかなった好著であり、さすが岩波という思いで信頼を深めている。
その二冊とは、先にこのブログで紹介した札幌テレビ放送取材班『ガン患者、お金との闘い』であり、今日紹介するのは信濃毎日新聞社文化部『大切な人をどう看取るのか 終末期医療とグリーフケア』だ。
さて、この『大切な人をどう看取るのか』は、「どれだけの人が『尊厳ある最後』を迎えられているのだろう。一人一人が望ましい最後を迎えるためにすべきこと - それは、これからの長寿社会に突きつけられる新たな命題ではないか」という問題意識が出発となっている。
そして、この本の構成は、第一章 いのちが尽きるとき-医療現場と家族の葛藤 第二章 食べること、生きること-胃ろうの選択、延命治療は幸せか 第三章 緩和ケア-人生の意味を問う 第四章 在宅死-「その人らしく」、家族の思い 第五章 グリーフケア-死別の悲しみと向き合う 終章 死と向き合う それぞれの「あり方」を求めて、となっている。
この内容を見るだけでも、現代の医療の課題が浮かび上がってくる。私も読み続けて、い
ずれも我が身に置き換えてみたし、ずいぶんと学ばせてもらった。
ところで、私は恥ずかしながら、この「グリーフケア(悲嘆回復)」という言葉を、この本を読むまで知らなかった。調べてみると、「『グリーフ』は“悲嘆”という意味で、近しい人を亡くした人がその悲嘆を乗り越えようとする心の努力。死別に伴う苦痛や環境変化などを受け入れようとすることをグリーフワークと言います。そして、これを支援するのが『グリーフケア』です」とあった。また、この本で「グリーフケア外来」や「遺族外来」が開設されている病院があることも知った。
是非とも、『大切な人をどう看取るのか 終末期医療とグリーフケア』と『ガン患者、お金との闘い』を、読んでみられることをお薦めする。