京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

京の夏の旅『杉本家住宅』見学

2019-09-12 05:38:56 | 京都の町 町屋・建造物


第44回京の夏の旅『杉本家住宅』の見学に行ってきました。
毎年杉本家の特別公開は、3月「ひな飾り展」、5月「端午の節句展」、7月「祇園会屏風飾り展」の3回です。
今回のような長期の特別公開(7/20ー9/30)17年ぶりだそうです。

杉本家は「奈良屋」の屋号で1743年に京都四条烏丸に呉服商として創業し、1764年に当地に移っています。
京都の中心部にありながら、江戸以来の大店の構えをよく伝え、表屋造りによる大規模町屋の典型になっています。
建物全体にわたって江戸時代に熟成された京都の大工の技量が遺憾なく発揮ざれ、技術性・意匠性ともに優れています。
元治の大火(1864)で建物は焼失しましましたが、1870年に再建上棟されました。
焼け残った土蔵三棟と合わせて、平成2年に京都市有形文化財に指定され、平成22年建造物は国の重要文化財に、平成23年には京民家の庭としては初めて国の名勝に指定ざれています。
同年22年には奈良屋記念杉本家保存会が公益法人に移行、来年2020年は杉本家住宅150年代になります。
現在のご当主は10代目です。














見学受付でもらう資料
建物内は指定された3ヶ所以外は撮影不可です。
また撮影可能な3ヶ所もスマホだけで、カメラは禁止です。











玄関の間に置かれた奈良屋看板(撮影可①)
奈良屋と言われてもあまりピンとこないのですが、商売形態は京呉服を仕入れて関東地方で販売する、いわゆる他国見せ持京商人として繁盛したそうです。関東でも特に千葉県では有名なようです。










資料より
杉本家間取り
綾小路通に面して広い屋敷地を占めています。間口は30m。
主屋は表側の店舗部と裏手の居室部を玄関で結ぶ表屋造の形式で、主屋の後方に大蔵、隅蔵、中蔵が並び建ち、屋敷の周囲には高塀を廻らせています。部屋数も非常に多いですね。
従業員が多かったので、炭小屋、漬物小屋、米蔵が屋敷内にあります。





奥座敷と庭園(撮影不可)
建物内は夏のしつらえになっています。
毎年6月と9月末頃に「建具替え」をします。
建具替えとは季節の変わり目に行う京町家での「住まいの衣替え」のことで、6月に夏仕様に、9月末頃に冬のしつらいに戻します。
土蔵に簀戸(すど)や御簾(みす)、籐むしろ(とむしろ)などが仕舞ってあり、夏用建具を土蔵から出すのです。
冬から春にかけて使っていた障子や襖ははずして土蔵に入れ替えます。
杉本家は禁門の変による大火で、住居は焼失しましたが、土蔵は無事で、建具も残っています。
畳の上は藤むしろでひんやりとし、触れているだけでも涼やかです。





台所(撮影不可)
おくどさんは七ツ竈口でしたが、ガスが普及した現在は四ツです。
従業員が数十名いましたので、七ツ竈口がフル稼働していたのかもしれません。





仏間と仏間庭(庭撮影可②)
杉本家は初代より浄土真宗本願寺派を信仰、仏壇は法性閣。
元治の大火の教訓から、仏壇下は深さ2mに2坪の地下室になっていて、万が一の時には貴重品を地下に移動するそうです。
代々の信仰の厚さが、独立した間取りと鴨川の滑石を敷く仏間庭に見られます。









水盤の下に蟹がいるのが分かりますか。





この石の上にも蟹がいます。





細目格子
外からは家の中は見えませんが、家の中からは外の様子がよく分かります。





八畳の間と露地庭(露地庭撮影可③)
明治26年に増築された部屋。
柱はすべて北山杉磨き丸太です。
西と北面に障子を建て込む明るい部屋です。
露地庭は飾り雪隠と井戸が備えられ、石彫の兎が二羽配置されています。























杉本家は毎年祇園祭伯牙山のお飾場となります。
玄関幕と高張り提灯










杉本家は綾小路通に面して広い屋敷地を占めています。
膏薬辻子(こうやくずし)の半分は杉本家の敷地などです。
綾小路側から撮影









右折した辻子の一部も杉本家です。














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1 コメント

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Unknown (nakko)
2019-09-12 21:25:24
こんばんは。
杉本家住宅には、祇園祭のころに見学に入ったことがあります。
料金が少々お高かったですが、立派な町屋で見応えがありました。ご当主みずから説明してくださいました。

吉田家、藤野家とも、資料のようなものがなかったので、京都で定年後生活様のブログを拝見しながらもう一度思い出して楽しませて頂きました。
ありがとうございました。
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