京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

百花繚乱(3)源平合戦図、後三年合戦、四条畷手、刀剣鎧、鈴木其一、酒井抱一

2019-09-03 15:55:02 | 美術・博物館


百花繚乱ニッポンXビジュツ展の続きです。

2章 サムライ
絵巻や屏風などの合戦絵に描かれた武士は、武具甲冑を身に帯び、日本独自の戦闘図の主人公として存在感を示しています。
武士の身の回りの実用品でありながら、現在は「美術品」として鑑賞されています。
現在見ることができる武士の遺品は、消費され失われた多くの実用品とは一線を画し、いずれも当時の武士のこだわりや美意識を反映し、贅を尽くした逸品です。

源平合戦図屏風
海北友雪 慶長3(1598)-延宝5(1677)
江戸時代前期(17世紀) 紙本金地着色 屏風装(六曲一双)
所狭しと金雲をあしらい、極彩色と繊細なタッチで武士一人一人の表情まで丹念に描いています。
「鵯越の逆落とし」、「敦盛最期」のシーンで有名な一の谷合戦を右隻に、陣屋に攻め入る義経軍と海上に逃れる平家の軍勢とが、陸上と海上に対峙する屋島合戦の模様を左隻に描いています。
















後三年合戦絵巻(写)
源琦 延享4(1747)-寛政9(1797)
明和7年(1770) 紙本着色 巻子(三巻)
後三年合戦絵巻は鎌倉期の代表的戦記絵巻であり、元々播磨の池田家の重宝として伝世したが、現在は東京国立博物館の所蔵となっています。
本作はその写本で、この写本を描いた源琦は京都に生まれ、円山応挙に学び、長澤ロセツとともに応挙門のニ哲と呼ばれました。










四条畷手の戦い
歌川国芳 寛政9(1797)-文久1(1861)
安政4年(1857) 木板多色刷 大判錦絵六枚続
ここに描かれているのは、楠木正成の息子正行が壮絶な討ち死を遂げた四條畷の戦いです。
正行は四條畷において、決死の覚悟で敵陣に突っ込み、無数の弓矢を射かけられるなか敵の大将高師直まであと一歩とせまるが取り逃がし、最後は自刃して果てたと言い伝えられています。





白糸裾萌葱紺威鎧 兜・大袖・小具足付
島津斉彬所用 1809-1858
江戸時代後期(19世紀) 鉄、絹、革、葦、漆、銅
幕末の薩摩藩主島津斉彬が着用したと伝えられる大鎧。制作当初の状態で各部が完全に揃っているものとして、大変貴重です。
兜の鉢は、古く鎌倉時代のものを転用しており、各所に取り付けられた金具の装飾は豪華な作りで、他に例を見ないほど手の込んでいます。









[重要文化財]太刀
銘 備前國長船住近景  建武二年五月日
備前 南北朝時代 建武2年(1335)
本作は、よく詰んだ板目肌に杢目が交じり美しく、直刃調の小丁字に直足が入った刃文が焼かれ、やや磨上げられてはいるが、身幅の広い堂々たる太刀姿を今に伝えています。
細川護貞氏旧蔵。昭和二十五年、国の重要文化財に指定されています。






銘 長曽祢興里入道乕徹  寛文五年十二月十六日 (金象嵌) 
山野加右衛門六十八歳永久(花押) 四ツ胴截断 武蔵 江戸時代前期(17世紀)

本作は、反浅く、鋒がつまり、鎬幅広く鋭い感じがする姿。地鉄は小板目がよく詰み美しく、刃文は、湾たれて刃縁に小沸が微塵につき明るく冴えるなど、まさに虎徹の典型作である。なお、虎徹の刀には、本刀のように幕府の試役を勤めた山野加右衛門永久、同勘十郎久英親子の裁断金象嵌銘を入れたものが多数あるのも特徴である。一般に三ツ胴以上の截断銘は少なく、四ツ胴截断銘の入る本作は、虎徹の作の中で最も切れた記録を残すものの一つ。






銘 和泉守藤原兼定作(之定)
美濃 室町時代中後期(16世紀)

和泉守兼定は孫六兼元と並んで「未関」を代表する名工です。
特に二代目の兼定は、「和泉守」を受領し、「定」の字をウ冠の下に「之」と切ることから「ノサダ」ろ呼称されます。
この刀は、ノサダの優れた技量が発揮された代表作といえます。





3章 デザイン
俵屋宗達に始まり、尾形光琳が発展させ、酒井抱一や鈴木其一に代表される「琳派」の絵師。
彼らの活動は、直接の師弟関係によらず江戸時代を横断し、京都から江戸へ広がり、絵画や工芸をまたぐ既成の流派の概念に収まらないものでした。
宗達、光琳、抱一、其一と描き継がれた風神雷神図、其一は抱一までの二曲一双で並び立つ二神を、大胆に襖四面の広大な空間の表裏に描き分けます。
斬新な発想力に由来する独自の造形=デザインに彼らの真骨頂があります。

波濤図屏風
描いた絵師は不明ながら、俵屋宗達・尾形光琳の双方が描いた《松島図》やメトロポリタン美術館所蔵の尾形光琳作《波濤図図》にも見られる波頭の図案が簡潔にリズムよく描かれています。 
波の躍動感を伝えながらも、高い装飾性・デザイン性を感じさせる作品です。














風神雷神図襖
鈴木其一 寛政8(1796)-安政5(1858)
江戸時代後期(19世紀) 絹本着色 襖(八面)
俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一という琳派の巨匠たちによって手がけられてきた重要画題である「風神雷神図」を抱一の高弟其一が再構成した作品です。
3人の巨匠が二曲の金地屏風に二神を収めたのに対し、其一は絹本の襖四面に各々を描きました。
この襖絵は元々4面が表裏にくるよう仕立てられていました。



















萩月図襖
鈴木其一 寛政8(1796)-安政5(1858)
江戸時代後期(19世紀) 絹本着色 襖(四面)
萩と月は秋を表す好画題です。
月下の葉色に変化をつけ、絹地の背景に銀泥を引くことで月光を演出するなど、こうした其一の細部へのこだわりが画面に程よい緊張感をもたらしています。
江戸琳派特有の美麗で瀟洒な品格を醸し出しています。














鈴木其一
酒井抱一 宝暦11(1761)-文政11(1828)
江戸時代後期(19世紀) 絹本着色 軸装
花弁の描写を略し、花の輪郭だけを捉えた世に言う「光琳梅」と呼ばれる意匠化された梅の花と、たらし込みの技法を駆使した幹の表現は、琳派を継承した抱一の確かな技量を感じさせます。
上部には「梅の花 八千代の春に 匂うとも 赤く色香の なとこもるらん」という歌です。








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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
素晴らしい (tyako)
2019-09-03 20:30:42
こんばんは。
見ごたえありますね。
見てみたいです。
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tyakoさまへ (京都で定年後生活)
2019-09-03 22:27:16
こんばんは
今秋はICOM国際博物館会議京都開催のおかげで、京都国立博物館での国宝、重要文化財がたくさん見られ、文化博物館での展示会も素晴らしいものでした。
しかも撮影可能なのがうれしいです。
ありがとうございます。
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