東京日本橋にある、三井記念美術館で明治工芸を集めた展覧会が開催されています。
そのなかのいくつか、番組で紹介されました。
錫や銅など金属で作られた「自在置物」と呼ばれる工芸品です。
龍や伊勢海老、蛇などです。
どれも本物そっくりで、しかも関節なども曲がります。
この「自在置物」にも時代が深く関わっています。
戦国時代、武将の甲冑を作る、明珍という名門甲冑師がいて、大きな勢力をもっていました。しかし、江戸時代戦乱がおさまると注文が激減します。
そこで新たな活路を求めたのが、献上品などとして作り始めたのが自在置物だったのです。
「スズメ蜂」(素銅製)
今では少なくなった自在置物の工房が京都にあります。
金工師5代目の冨木宗行さんです。
先祖代々、得意としてきたのが「伊勢海老」(銀製)です。
「孔雀図屏風」
刺繍絵画と呼ばれるものです。
数ある細密工芸のなかでも、刺繍絵画が特に西洋で高い人気だったそうです。
奈良時代に作られた国宝「釈迦如来説法図」も刺繍です。
刺繍は6世紀頃日本に入り、最初は仏教に使われていました。
その後、着物などの装飾に使われるようになり、京都を中心に発展します。
しかし、そこにも時代の波が押し寄せます。
明治に入り、東京に文化の拠点が移り、京都の染色産業は顧客を失います。
そこで、目をつけたのが、刺繍絵画です。
世界でも例がないと西洋で絶賛されます。
滝の図
下絵を担当したのは、日本画家竹内栖鳳をはじめとする、日本画壇の巨匠たちです。
栖鳳「雪中蒼鷹図」と刺繍絵画
現代の刺繍工芸、人間国宝の福田喜重さん
福田さんの作品です。
刺繍絵画の「読書図」
油絵のようです。
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