堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

2024年3月7日 弁理士試験 代々木塾 通常実施権

2024-03-07 19:40:33 | Weblog
2024年3月7日 弁理士試験 代々木塾 通常実施権


問題


 次の記載は、適切であるといえるか。


 甲は、実用新案権Aを有し、日本国内において実用新案権Aに係る考案の実施である事業イを行っていた。
 事業イの開始後、実用新案権Aに対して、実用新案登録無効審判が請求され、実用新案権Aに係る実用新案登録出願の考案が、当該出願前に出願された実用新案権Bに係る実用新案登録出願の考案と同一であるとして、実用新案権Aに係る実用新案登録を無効とすべき旨の審決が確定した。
 甲は、上記無効とすべき理由を知らないで事業イを行っていたときであっても、実用新案権Bについて、無効審判の請求の登録前の実施による通常実施権を有さない。


解答


 実用新案法20条1項は「次の各号のいずれかに該当する者であつて、特許法第百二十三条第一項の特許無効審判(以下この項において単に「特許無効審判」という。)の請求の登録前に、特許が同条第一項各号のいずれかに規定する要件に該当することを知らないで、日本国内において当該発明の実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているものは、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許を無効にした場合における実用新案権又はその際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
一 実用新案登録に係る考案と特許に係る発明とが同一である場合において、特許を無効にした場合における原特許権者
二 特許を無効にしてその発明と同一の考案について正当権利者に実用新案登録をした場合における原特許権者
三 前二号に掲げる場合において、特許無効審判の請求の登録の際現にその無効にした特許に係る特許権についての専用実施権又はその特許権若しくは専用実施権についての通常実施権を有する者」と規定している。


 実用新案法20条1項は、特許が無効にされた場合に、当該発明と同一の考案について実用新案権が存続する場合に適用される。
 実用新案法においては無審査登録制度(実14条2項)を採用しているので、実用新案登録が無効にされても、実用新案法20条1項は適用されない。


 よって、本問の記載は、適切である。




この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2024年3月7日 弁理士... | トップ | 2024年3月8日 弁理士... »

Weblog」カテゴリの最新記事