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堤卓の弁理士試験情報

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19.5.8 発明の単一性の要件の審査

2007-05-08 10:57:50 | Weblog
発明の単一性の要件の審査

4.1 基本的な考え方 

(1)発明の単一性の要件を満たすかどうかは、特許請求の範囲の「最初に記載された発明」と他の発明との間で判断し、特許請求の範囲の「最初に記載された発明」、及び当該発明との間で発明の単一性の要件を満たす一群の発明を、発明の単一性の要件以外の要件(新規性等)についての審査対象とする。
※補足
 請求項1の発明については、発明として成立していない等の場合を除き、必ず新規性等の特許要件を判断することになります。
 請求項1の発明を基準として、請求項2以降の発明が請求項1の発明との関係で発明の単一性の要件を満たすかどうかを判断します。


(2)特許請求の範囲の「最初に記載された発明」との間で発明の単一性の要件を満たさない発明については、新規性等の審査対象とせずに、発明の単一性の要件違反の拒絶理由を通知する。
※補足
 請求項1の発明との関係で、発明の単一性の要件を満たす請求項の発明について、新規性等の特許要件を判断することになります。


(3)特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合は、下記4.2に従って審査対象を決定する。
※補足
 この場合は、文理上、請求項2以降の発明はすべて発明の単一性の要件を満たさないことになりますが、例外的に、発明の単一性の要件を問わないこととしています。
 この点は、条文の文理とは異なる取扱いとなります。


4.2 特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合の審査対象

(1)特許請求の範囲の「最初に記載された発明」が「特別な技術的特徴を有しない場合」には、当該発明と他の発明との間で、同一の又は対応する特別な技術的特徴を見出すことができないため、発明の単一性の要件を満たすとはいえない。
※補足
 条文の文理上はそうなります。


(2)しかしながら、第37条が「出願人等の便宜を図る趣旨の規定である」ことを考慮し、このような場合であっても、「例外的に」、以下の手順により審査対象となる発明については、「発明の単一性の要件を問わない」こととする。
 審査対象とならない発明がある場合には、発明の単一性の要件違反の拒絶理由を通知する。
※補足
 文理解釈では、このような取扱いは導き出すことができませんが、出願人等の便宜を図るという趣旨解釈により、例外的に発明の単一性の要件を問わないことにしています。


(3)審査対象の決定手順

① 特許請求の範囲の「最初に記載された発明」の「発明特定事項をすべて含む(注)」「同一カテゴリー」の請求項に係る発明のうち、請求項に付した「番号の最も小さい」請求項に係る発明について、特別な技術的特徴の有無を判断する。
※補足
 請求項の番号順に発明の単一性の要件を判断することになります。
 ということは、請求項1に記載する発明がとても重要であるといえます。


(注)発明の「発明特定事項をすべて含む」場合には、当該発明に「別の発明特定事項を付加した場合」に加え、当該発明について「一部又は全部の発明特定事項を下位概念化した場合」や、当該発明について発明特定事項の一部が数値範囲である場合に、それを「さらに限定した場合」等も含まれる。


② 既に特別な技術的特徴の有無を判断した請求項に係る発明が「特別な技術的特徴を有しない場合」には、次に、「直前に」特別な技術的特徴の有無を判断した請求項に係る発明の発明特定事項を「すべて含む同一カテゴリー」の請求項に係る発明のうち、請求項に付した「番号の最も小さい請求項」に係る発明を選択して、特別な技術的特徴の有無を判断する。
※補足
 請求項2の発明も特別な技術的特徴を有しない場合は、すなわち、請求項2の発明が新規性がない場合は、請求項3の発明が新規性があるかどうかを判断することになります。


③ ②の手順を特別な技術的特徴を有する発明が発見されるまで「繰り返し」、特別な技術的特徴を有する発明が発見されれば、それまでに特別な技術的特徴の有無を判断した発明(a)、及び当該特別な技術的特徴を有する発明の発明特定事項をすべて含む同一カテゴリーの発明(b)を、審査対象とする。
※補足
 請求項の番号順に、新規性のある発明が発見されるまで、新規性の判断を行うことになります。新規性がないと判断した発明(特別な技術的特徴のない発明)については、すでに新規性がないと判断していますので、発明の単一性の要件を満たさないとして拒絶理由を通知することはありません。
 請求項1から請求項3までの発明は新規性がなく、請求項4の発明が新規性があるという場合は、請求項4の発明特定事項をすべて含む同一カテゴリーの発明については、新規性等の判断の対象とすることになります。
 その結果、請求項1から請求項3については新規性がないとする拒絶理由を通知し、請求項4以降の発明であって審査対象とする発明については、その審査結果によって拒絶理由がある場合とない場合とがあります。審査対象としない発明については、発明の単一性の要件を満たさないとする拒絶理由が通知されることになります。