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18.9.1 特許法46条の2第2項ただし書

2006-09-01 17:18:35 | Weblog
特許法46条の2第2項ただし書

・条文
 ただし、その特許出願が29条の2に規定する他の特許出願又は実用新案法3条の2に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用並びに30条4項、36条の2第2項ただし書、41条4項、43条1項(43条の2第3項において準用する場合を含む。)及び48条の3第2項の規定の適用については、この限りでない。

(1)特許法29条の2又は実用新案法3条の2
 分割や変更の場合と同様に、実用新案登録に基づく特許出願が出願公開された場合において特許法29条の2又は実用新案法3条の2の引用例とする場合には、出願日は遡及させないこととしたものである。
 実用新案登録に基づく特許出願をするときに新規事項の追加を完全に排除することはできない。
 したがって、新規事項の追加がされたときに出願日を遡及させて引用例とすることは不当である。
 また、実用新案登録に基づく特許出願の要件について審査しなければ引用例にできないとするのも審査負担の増大を招く。
 そこで、実用新案登録に基づく特許出願の要件を審査することなく、これを引用例とすることができるためには、一律に出願日を遡及させないという以外に方策はない。
 なお、実用新案登録に基づく特許出願をする際にかりに新規事項が追加されていたとしても、その後の補正により当該新規事項を削除すれば、当該特許出願の出願時の遡及効が認められることになるが、その場合に、当該特許出願の出願当初に記載された事項(新規事項が含まれている。)について出願日を遡及させて引用例とすることは不当であることは明らかである。

(2)特許法30条4項
 基礎とされた実用新案登録出願において準用する特許法30条1項又は3項の適用(新規性の喪失の例外の適用)を受けていた場合には、実用新案登録に基づく特許出願をする場合にも、特許法30条4項の手続を引き継ぐことができることを規定したものである。

(3)特許法36条の2第2項ただし書
 実用新案登録に基づく特許出願を外国語書面出願で行う場合を考慮したものであり、外国語書面の翻訳文の提出期間の2月は、遡及した出願日からではなくて、現実の特許出願の日を基準として計算することとしたものである。

(4)特許法41条4項、43条1項等
 基礎とされた実用新案登録出願において有効な国内優先権の主張又はパリ条約の優先権の主張を伴っていた場合には、実用新案登録に基づく特許出願をする場合にも、国内優先権の主張又はパリ条約の優先権の主張を引き継ぐことができることを規定したものである。
 ただし、特許法46条の2第5項において、特許法44条4項を準用しているので、もとの実用新案登録出願においてすでに手続が完了しているときは、実用新案登録に基づく特許出願においてあらためて手続をすることは必要とされない。

(5)特許法48条の3第2項
 実用新案登録に基づく特許出願についての出願審査の請求期間は、出願日が遡及するので、基礎とされた実用新案登録出願の日から3年ということになる(特48条の3第2項)。
 しかし、実用新案登録に基づく特許出願は、その実用新案登録出願の日から3年以内であればすることができる。
 すなわち、実用新案登録に基づく特許出願をその実用新案登録出願の日から2年と11月と20日を経過した日にしたとすれば、3年までの残存期間は、約10日となる。
 この場合は、3年を経過していても、特許出願の日から30日以内であれば、出願審査の請求ができることとしたものである。
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