いよいよ6月4日に映画版が放映される作品があるのでこの作品の感想を載せずにはいられません。この作品は春アニメでありながら2週間で終わってしまったため分類に困りましたが夏に終了ということにしておきます。今回はNHKで放映された「もしドラ もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の最終回を視聴したのでそちらの感想を書いてみたいと思います。
「もしドラ もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」…岩崎夏海の小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のアニメ化作品で、アニメ制作はproduction I.Gです。
200万部を越える大ヒットとなったベストセラー小説のアニメ化ということで注目されていたこの作品、1話では川島みなみがドラッカーの『マネジメント』を手に取るところから始まっていましたがイマイチ内容が分かりづらく普通の萌えアニメのような印象でした。
そして1話からすでに疑問視されていましたが、肝心のマネジメントの部分についてお世辞にも良いとは思えず、2話で「マネージャーとは専門家と現場の橋渡しとなる翻訳家であるべき」といったかんじの名言が生かされるべきシーンで主人公が何もせず監督が一人で全部解決してしまったことにより「あれ?マネジメントしてなくね?」という意見が出て以降マネジメントの部分はかなり簡略化されていて良くわからなかったです。
中盤になり、革新的な考えという意味で「イノベーション」という単語が重要になり監督が高校野球の常識を覆すべく編み出した「ノーバント・ノーボール作戦」…打たせて取るピッチングによりピッチャーに余計な球数を投げさせない作戦は不意打ちとしては有効かもしれませんがトーナメント戦で対策されたらどうなの?と突っ込みどころも多かったです。他にもマネージャーが新入部員を面接して独断で12人以外全員入部させなかったりと、ありえないシーンが多かったため実況向きなアニメでした。
そして極めつけは後半の強引な展開で、その作戦によりいつのまにか東京屈指の強豪校となりほとんどの試合をコールド勝ちにしてしまうのはかなり無理があったと思われます。そして最初から病弱で入院していた夕紀がいきなり死んでしまったのが衝撃的でした。しかも病名不明だし…。作品唯一の良心だったディフォルメ顔すら登場しなくなった終盤のグダグダっぷりはまるで30年前のドラマのようでした。
しかも決勝戦に至っては対戦相手の名前すら一瞬しか出なく、とても東京都大会決勝戦とは思えないチープさでした。せめて東京都ではなく他の県が舞台だったならリアリティがあったかもしれません。最後はお約束の甲子園に出場できたぞ!俺達の戦いはこれからだENDだったし、なんというか言葉にもしづらい酷さでした。
そんな作品でしたが良いところもあり、みなみのディフォルメ顔に加え女子マネージャー達は個性派が揃っていて良かったです。中でも「え、あ、はい」のキャラはAKBの人が声優をやったとは思えないほど普通に聞ける演技でした。
本編が散々だった分おまけの実写コーナーは案外おもしろく、著名人がドラッカーの著書について自分の考えを述べているところは興味深くて本編より見応えがありました。
作画は極端に悪いことはなかったですが動きは無く、野球シーンは見ごたえが全く無かったです。オープニングの主題歌は個人的に結構いけました。
総評
全体的な感想としては、期待はずれで予想以上につまらなかったです。少なくとも原作に興味を持つどころか逆にこの内容で200万部を越えたのが信じられません。結論として分かったことは、高校野球の常識を覆す革新的なやり方を思いつけば弱小チームでも東京都大会で優勝して甲子園に行けることです。
野球アニメとしてありえないほど盛り上がりに欠けていたしマネジメントの部分も分かりづらかったし、やはり10話でまとめるには無理があったと思われます。ただ決勝戦の9回裏のラストシーンと、みなみのディフォルメ顔は可愛かったためそこは良かったです。
個人的評価としては、1話の時点ではまだマネジメントに出会ったばかりだったので様子見のBランクでしたが、終わってみれば全て中途半端で散々だったので視聴打ち切りのCランクです。最後まで見た理由は全10話を2週間で放映したからで、毎週放映だったら見てません。
実写映画が6月4日から公開ですのでそちらはがんばってほしいものです。