Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ステップフォード・ワイフ

2006-07-10 | 映画(さ行)
■「ステップフォード・ワイフ/The Stepford Wives」(1975年・アメリカ)

監督=ブライアン・フォーブス
主演=キャサリン・ロス ポーラ・プレンティス ピーター・マスターソン

※注・結末に触れる部分があります
 ニコール・キッドマン主演でリメイクされた「ステップフォード・ワイフ」のオリジナル。「ローズマリーの赤ちゃん」と同じくアイラ・レヴィンの原作なのだが、主人公が次第にコミュニティの中で孤立していく過程は「ローズマリー~」と同様、実に恐い。ステップフォードに引っ越してきたジョアンナ。家事に一生懸命な良妻賢母の奥さんたちと、夜な夜なクラブと称する会合に出席する夫たち。何かがおかしいと次第に考えるようになったジョアンナ。町はずれに立ち並ぶ工場群。何の仕事をしているか見当もつかない。牧歌的な住宅地の様子と、どこか冷たさを感じさせる工場の対比・・・。その町の秘密に近づくにつれ、彼女の身に危険が迫ってくる。

 製作当時、ウーマンリヴの運動がアメリカでは盛んだった頃。次々と良妻賢母型に変えられていく女性たちが描かれることで、リベラルな女性たちからは批判を浴びたそうである。しかし、この物語は決して女性を差別するものではなく、愚行に及ぶ男性たちの偏った欲望と風潮こそがこの物語が問題としているところである。テレビのCMや番組は、絶えず我々に「これが理想だ」とする家族の姿や生活を提示する。「まだあなたはそうでない?」「まだ手に入れていない?」とあおり立てる。この物語はそうした生活を手にするための欲望が、誤った方向に向かった末路を描く。「ソイレントグリーン」や「猿の惑星」、「SFアンドロメダ・・・」など数々の70年代SFやスリラーは、今でも観ている僕らに危機感を与えてくれる。それは背景がしっかりしているからなのだ。そこを理解することで、この「ステップフォード・ワイフ」はより恐いものとなる。だからこの映画をもし2度目で観るならば、それぞれの場面の背景や関係・それぞれの台詞に秘められた伏線がわかったとき、再び違った恐さを感じられるはずだ。ラストのショッピングの場面の冷たさがまた恐い。

 僕は中坊の頃「卒業」を観て以来、キャサリン・ロスのファン。この映画の彼女はとても魅力的な役柄だ。保守的なステップフォードの奥様方のロングドレスと違って、スレンダーな体の線を強調したような服装やラフな着こなしにも注目。この映画の続編は、テレビムービーとして製作されている。そっちも観てみたい。子役でメアリー・スチュワート・マスターソンが出演。悪役パトリック・オニールの顔を見たら、何だか「刑事コロンボ」が無性に観たくなってきた(笑)。

ステップフォード・ワイフステップフォード・ワイフ
アイラ・レヴィン ブライアン・フォーブス キャサリン・ロス

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