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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー

2013-12-16 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その33)★88人斬りのルーツはカンフー映画のルーツにあり
吼えろ ! ドラゴン 起て ! ジャガー [DVD]
■「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー/ 龍虎闘 (The Chinese Boxer)」(1972年・香港)

監督=ジミー・ウォング
主演=ジミー・ウォング ロー・リエ ワン・ピン チャオシュン

 「キル・ビル」で青葉屋に乗り込んだブライドは、オーレン・イシイの手下クレイジー88を相手にたった一人で戦う。 ここでブライドは、斬って斬って斬りまくるのだが、この百人斬りならぬ88人斬りにもルーツがある。ショウブラザースの功夫片「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」がそれだ。ある街の中国拳法”国術”を教える道場に、突然空手家が現れる。道場破りを挑むが、年老いた道場の師匠に阻止された。彼は日本人空手家を雇って、再び道場に現れる。ここで黒服に赤帯の空手家が、道場の全員をバッタバッタと血祭りにあげていく場面が登場する。 またこの映画のクライマックスには、主人公ジミー・ウォングが斧まで持って襲いかかる悪党を相手に百人斬り!。ここが「キル・ビル」が引用した場面。刀を手にしたブライドに次々とクレイジー88が襲いかかるところだ。「吼えろ!~」でのこの場面は、血しぶきが飛び、目をつぶされた弟子たちが悲鳴をあげる。こうした残酷描写も「キル・ビル」に影響を与えているのだ。 ちゃんと斧を持ったのも出てくる。

 この戦いで生き残った主人公(ジミー・ウォング)は、街を牛耳ることになった空手家たちに復讐すべく、亡き師匠の言葉を信じて技の稽古を積む。そして、空手家の悪行に怒りがピークに達したとき、復讐のときが訪れる。クライマックスの死闘には、観ているこちらまで思わず力が入ってしまう。 アクションに力が注がれているだけに、ドラマ部分の情感が今ひとつ・・・。だが、その分純粋に拳と拳のぶつかり合いに僕らは心を奪われていく。

 実はこの映画、香港映画史上で転機ともなった重要作なのである。この映画が製作されるまでの香港活劇は、いわゆる”武侠映画”。要は剣劇、チャンバラだ。人が拳で戦うアクション映画は、この映画が登場するまでなかったと言われている。しかも、その後のショウブラザース映画に引き継がれる”異種格闘技”的な物語も面白い。 「日本から武士を呼んでやる」という空手家北島(ロー・リエ)が、呼び寄せたいかにも悪そうな武士二人。何故か手裏剣を使ったりするのだが・・・。こうした面白さが行き着くところまで行っちゃったのが、同じジミー・ウォングの「片腕ドラゴン」なんだろう。また、この映画のアクションを見たブルース・リーが、「俺はこれ以上のアクション映画がやれるゾ!」と宣言。そして「ドラゴン危機一髪」が製作されたという逸話が残っている。「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」がなかったら、その後の香港カンフー映画の歩みはなかったのだ。

 「キル・ビル」の撮影中、タランティーノはこの映画を「参考に」とスタッフに見せた。アクション監督ユアン・ウー・ピンが「あ、うちの親父が写ってる」と言う。「酔拳」のユアン・シャオティエン老師の若き日の姿がそこにある。香港映画の歴史を感じさせる作品だ。






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