■「恋におちたシェイクスピア/Shakespeare In Love」(1998年・アメリカ)
●1998年アカデミー賞 作品賞・主演女優賞・助演女優賞・脚本賞・音楽賞・美術賞・衣裳デザイン賞
●1999年ベルリン国際映画祭 銀熊賞
●1998年NY批評家協会賞 脚本賞
●1998年ゴールデン・グローブ賞 作品賞・主演女優賞・脚本賞
監督=ジョン・マッデン
主演=グウィネス・パルトロウ ジョセフ・ファインズ ジェフリー・ラッシュ
「ロミオとジュリエット」誕生秘話を、ここまで面白くデッチあげたのには感心。脚本がとにかくよくできている。シェイクスピアとヴァイオラの身分違いの恋だけでも観客の心はドキドキする。ところがひとつの舞台が作り上げられていく過程で、さらに観客は映画に引き込まれていく。役者集め、資金繰り、女性の役は少年が演じていたこと等ハラハラするエピソードが散りばめられている。そして迎える初演の場面は、もう目が離せない。都合がよすぎると思えるところもあるけれど、まあそこはハリウッド映画だからよしとして。コスチュームプレイが苦手な観客にも、恋する二人を中心にしたわかりやすい展開で飽きさせないことだろう。衣装や美術にしてもハリウッド映画だからなし得る豪華さ。エンターテイメントたる映画としもてよくできているのだけれど、実はイギリス演劇界出身の監督が”ほらね、舞台って素晴らしいだろう?”と賛美している映画だとも思えた。これがSFX大作の花火上げまくってるハリウッドで製作されて、ヒットしたことがまた面白いじゃない。
ベッドで朝を迎えた二人の会話を始めとして、随所に「ロミオとジュリエット」の台詞が盛り込まれているのが実に楽しい。シェイクスピア映画を「ロミオとジュリエット」くらい観ていればパロディなんだとわかるだろうから、楽しめるはず。でもそれさえ知らなければ、”あぁ二人の会話引用したのか”くらいしか思わないだろうから、ある意味予備知識はいるかもね。でも改めて思うのはシェイクスピアの台詞の美しさ。グウィネス・パルトロウ出演作は今まであまり観ていないけれど、この映画の生き生きとした彼女は素晴らしい。劇中劇があるだけに演じる側としても面白い役だったろう。女王を演じたジュディ・デンチ(彼女は30年前にフランコ・ゼフィレッリの舞台でジュリエットを演じていた)、ジェフリー・ラッシュら脇役の芸達者ぶりも見どころ。ベン・アフレックの何か勘違いしている売れっ子役者ぶりも楽しい。ああお腹いっぱい。
(2003年筆)
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