■「エレクトリック・ドリーム/Electric Dreams」(1984年・イギリス)
●1985年アボリアッツ・ファンタスティック映画祭 観客賞
監督=スティーブ・バロン
主演=レニー・フォン・ドーレン バージニア・マドセン マックスウェル・コールフィールド
※ネタバレあります
実は初めて観たのだけれど、いいねぇ!。いい物語といい音楽がある。そして何よりも夢がある。まだデスクトップパソコンが珍しい時代。ひょんなことから意思を持ったコンピューターが、言葉を覚え、音楽を奏で始め、恋をする。主人公は次第に生活をコンピューターに干渉され、脅かされるようになる。その様は何ともおかしい。要はHALの延長にあるのだろうが、HALにもできなかったことをこの映画のコンピューターは学ぶ。それは愛情だ。「愛は奪うものではない。与えるものだ。彼女は君に愛を与えた。だから僕は去る。」というコンピューターの台詞には、もう感動せざるを得ない。最後は自殺までするし、「おやすみ」と言われて電気羊まで数えるんだよ!。
二人の恋の進展があまりにも急で、都合よすぎると感じられる。けれど、それ以外の部分が十分魅力的なので映画自体は成功作と言ってよいだろう。マデリンの心は、音楽によって自分に向いている、本当はコンピューターが奏でているのに・・・そんな冴えない主人公の焦り。その恋を知ったコンピューターが彼女に近づきたいと騒ぎ出すだけに、彼は必死になる。でも彼女は主人公の人柄に惹かれていたことで愛を勝ち得る。今で言う電脳ヲタクが勝利するようなお話だから、観ていて勇気をくれるよね。リチャード・ブライソンが製作総指揮を担当、彼のヴァージン・ピクチャーズ第1回作品だけに、ヴァージンお抱えのアーティストの楽曲がズラリ。歌心を覚えたコンピューターが自作するラブバラードが、Love Is Love (カルチャー・クラブ)、コーラのCFをパクって作ったゴキゲンな(死語)ポップナンバーが Video (ジェフ・リン)。そして思わずニヤッとさせる粋なラストシーンに流れる Together In Electric Dreams (ジョルジオ・モロダー with フィル・オーキー)も楽しい。是非サントラを入手したい。それにバージニア・マドセンのかわいいこと!「ホット・スポット」でお色気ムンムンになる前だけに(そっちも好きだけど)、もうピンナップしたい程だ!。それにつけても、エドガーと名乗ったコンピューターの”意思”は、自爆の後ネットの世界で存在し続けたってことなのかな。80年代半ばにそんな発想で作られていた先見性!目の付け所は「攻殻機動隊」よりも早かったってことか?(笑)。
(2004年筆)