Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

Greatest Albums(その67) Bitter And Sweet/中森明菜

2010-07-07 | 僕のGreatest Albums
音楽的嗜好が「雑食」とよく言われる私tak。”そんな私に誰がした”のか検証すべく、1アーティスト1枚のお気に入りアルバムを選んで解説しようという試み、その第67弾。これまでの目次はこちら

今回は久しぶりにアイドル系の登場。中森明菜の8枚目のアルバムにして最高傑作(と僕は信じて疑わない)「ビター・アンド・スイート」について。

80年代アイドルの中でアルバムやシングル(当時レコードですが)をきっちり購入する程好きだったのは、原田知世と中森明菜だった。え?聖子チャン?・・・嫌いじゃなかったけど、僕はどうもメインストリームを避けがちな人なんで。とはいえ、シングルヒットはあれこれあっても、アルバムの完成度やクオリティから言うならば、当時聖子チャンのアルバムには誰も敵わなかった。奈保子チャンや美奈子チャンが海外アーティストの楽曲を歌っても、今日子チャンが元気に明るく突っ走っても、おニャン子が束になってかかっても・・・やっぱり聖子のアルバムはすごかった。巨人がスラッガー揃えて一人勝ちするのが嫌なように、聖子がすごいソングライター揃えて一人勝ちするのは、僕は(好きだったけど)素直に喜べなかった。明菜は確かに実力派だったけど、アルバムとして彼女のもつ雰囲気や良さをトータルで描きあげたアルバムは、残念ながらまだ存在しなかった。

そこに8枚目のアルバム「ビター・アンド・スイート」が登場した。シングル「飾りじゃないのよ涙は」を収録しているが、ヴァージョン違いになっている。この曲だけでも他のアイドルには歌いこなせない曲だと思うのだが、このアルバムは他の収録曲が素晴らしい。しかも個々の楽曲がよいだけでなく、明菜をいちアイドル歌手から表現者として一歩踏み出させることに成功している。どの曲も他のヤツには歌えない!そう思えるのだ。


飛鳥涼が提供した「予感」は名曲。恋の終わりを切なく描くこのバラードは、80年代の明るいイメージのアイドルたちにはとてもじゃないが歌いこなせまい。倦怠感たっぷりに桃井かおりに歌てもらうのもいいくらいの曲だもん。
どうせ嫌われるなら/思い切り嫌われたい
どんな言葉でもかまわない/答をください/もう疲れたの

このアルバムの白眉は、なんと言ってもA面最後を飾る「BABYLON」だろう。お洒落で本格的なダンスチューンでありながら、明菜の持ち味を生かし切った曲。12インチのロングヴァージョンも存在するがこちらがまた素晴らしいのだ。

角松敏生提供の2曲「Unsteady Love」と「So Long」。演奏もかっこよくて、僕は自分の女声ヴォーカルバンドで演奏したこともある。2拍目4拍目を強調するチョッパーベースがたまんない。他にも松岡直也が楽曲を提供(この後のシングルが大傑作「ミ・アモーレ」だもんね)。

他にも明菜のアルバムには好きなものがあるけれど、9枚目の「D404ME」(これもかなり好き!)よりも後は、凝りすぎたアルバムが増えていき、僕はだんだんとシングルのみで明菜を聴くようになっていく。「ビター・アンド・スイート」は80年代アイドルのアルバムの中でも、成功作だと僕は思うのだが。いかがでしょ。


コメント (4)
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