ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

満州安寧飯店

2011-11-30 21:02:36 | 
42歳になって最初に読んだ本がこれである。

「満州安寧飯店」岡田和裕著

戦後、しばらくして書かれたものかと思いきや、今から9年前に書かれた本だった。
舞台は、満朝国境の町、安東。今の中国、丹東である。
日本の敗戦により満州国の崩壊直後、ソ連軍の進攻と中国国民党と共産党内戦に翻弄
された、当時、安東に住んでいた日本人の人々の物語である。

小説かと思いきや、登場人物は皆、実在する方々だそうで、若干の脚色を除けば、
ほぼノンフィクションだと、あとがきに書いてあった。

タイトルの「安寧飯店」は実在した娼館の名前である。

満洲には元々、慰安婦として日本から大陸に渡った多くの日本人女性がいた。
敗戦後は慰安所がなくなり、彼女らは行き場を失っていたところ、満洲の電力会社
に勤めていた普通のサラリーマンが、そんな状況を見るに見かねて娼館を作った
のである。

結して、酷い話ではない。どちらかというと感動物語である。

敗戦後、満洲に取り残された日本人は、帰国までの1年~数年間、自力で生活しなく
てはいけなかった。職を追われた人も多く、蓄えのない慰安婦などは悲惨な生活
を余儀なくされていたわけである。

結果的に、住み込み可能で食事も付く「安寧飯店」のおかげで多くの慰安婦は救われた。

物語はこの「安寧飯店」を中心に当時の在安東日本人会や進駐してくるソ連軍、国民
党軍、そして共産党の八路軍が絡み合い、終戦から帰国までの1年間の安東在住の日本
人らの実話である。

敗戦国になるということは、「あらゆる理不尽なことに耐える」ことだとつくづく
思い知らされる本でもあった。






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