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ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

復刊

2017-12-25 21:33:40 | 
先日、1号だけ復刊した「旅行人」が届いた。

休刊したのが2012年だから、実に5年ぶりだ。書いている人は、当時と同じ人顔ぶれ
ばかりで、ちょっと懐かしかった。90年代後半くらいまでは、定期購読していて毎月
届くのが楽しみだった。それから数年後、季刊誌になり、そのころからは、まったく
読まなくなってしまった。そして5年前、休刊されると聞いて、最後の号だけは購入し
て読んだのが最後だ。

今回、1号だけの復刊とはいえ、内容は休刊前とほぼ変わらない、蔵前氏お得意の
インド特集だった。

面白かったのは、インド・バングラデシュ国境の「飛び地」地帯の記事。クチビハール
とも呼ばれるこの地区には、互いの国境を超えて100を超す飛び地があり、小さな集落
単位でインドとバングラデシュが入り乱れていた場所。2015年に国境線が再画定され
て飛び地は解消されたが、ちょうどその前後に飛び地を訪ね歩いた記録だ。
飛び地とは言え、基本的に観るべきものなど何もない。人と家があるだけだ。けれど、
飛び地そのものが入り乱れている、ただ純粋にそれだけが見てみたいという衝動に駆ら
れる場所だった。結局、行けなかったけれど、こういう場所を記事にして紹介してくれ
る雑誌は、「旅行人」しかなかったなとつくづく。

そうそう、前川健一氏の「少し前のバンコク」も面白かった。
今でこそ、高層ビルが乱立するバンコクだが、実は高層ビルが建ち始めたのは1990年に
入ってからということも、あらためて知った。そういえば、初めて訪れた1988年には
そういう印象はなかったなとか、さらにその10年前の1970年代では、タイを訪れるには
種痘とコレラの予防接種が必要だったこと。当時のレートは1バーツ15円、まだ円が弱か
った時代は、タイの物価は結して安くなかったなどの内容はとても興味深かった。

これからも、時々、思い出したように復刊してくれたらと思う…。

さらにちょっと、インドに行きたくなってしまっている。



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名作と駄作

2017-08-21 20:31:02 | 
今日は、朝から大阪へ。

車中で、「東南アジア全鉄道制覇の旅 タイ・ミャンマー迷走編」下川裕治著を
読んだ。この方、もうかれこれ30年近く、この貧乏旅行スタイルで旅をして、そ
れを本に綴っている人である。

別に何をするでもない。一応、テーマのようなものはあるが、汽車やバスに乗って
移動し、安宿に泊まり屋台で食事をする。ただそれだけ。それで一冊の本が出来上
がる。今回はタイとミャンマーのすべての鉄道路線を制覇する、という目的がテーマ
になっている。

けれど、内容は時刻表にも載ってない謎の路線を求める苦悩と、乗り続ける苦痛が
書かれているのが主で、期待したミャンマーの辺境の街や村の様子は皆無でちょっと
がっかり。

いつもの下川ワールドではなく、まるで、「宮脇俊三の世界」だ。
一部の乗り鉄でもない限り、楽しめないだろう。

今後は、東南アジア全路線制覇を目指すという。ただ、乗るのが目的になってしまうと、
それはもう苦行でしかなく、単に自己満足の世界であり、乗り終えた達成感を読者と共
有するのは難しいのではないかと思う。

宮脇俊三の国鉄全線完乗を記した「時刻表2万キロ」とは、比べるまでもないが、名作に
対し駄作と言っていいほど、読んでまったく何も残らない一冊だった。

次回に期待したい。



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バッタ本

2017-08-11 14:36:15 | 
「バッタを倒しにアフリカへ」前野ウルド浩太郎著を読んだ。

タイトルにつられて、つい、手に取ってしまったが、面白かった。筆者は昆虫学者だ。
ファーブルに憧れ、昆虫学者になることを心に誓い、子供の頃から「バッタに食べられたい」
というのが夢になった。その夢を叶えるために、31歳の時、バッタが大発生しているという
西アフリカのモーリタニアへ…。

当然、様々な苦難が待ち受ける。

まさか「バッタがいない」という状況になるとは。最悪だ。大発生すると評判のバッタが不在
になるなんて、一体何しにアフリカにやってきたのか…」

「バッタを失い、自分がいかにバッタに依存して生きてきたのかを痛感していた。自分からバッタ
をとったら何が残るのだろう。私の研究者としての魅力は、もしかしたら何もないのではないか。
バッタがいなければ何もできない。まるで翼の折れたエンジェルくらい役立たずではないか…」

終始、このようなノリだ。

ただ、彼の行動力や夢の実現に向けて一点集中で取り組む覚悟や、様々な苦難を乗り越えていく
姿は、本当に凄いものがある。

こんな日本人もいる。

ちょっと勇気をもらえる本だった。
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お薦めの一冊

2017-07-21 20:36:42 | 
今日は、朝から大阪へ。

道中、「このあと どうしちゃおう」ヨシタケ シンスケ著書を読んだ。
前から読もう読もうと思っていて、やっと読めた一冊。

少年が、亡くなったおじいちゃんの部屋から1冊のノートを見つけ、そこには
「このあと どうしちゃおう」という題名が記してあった。そこから始まる物語
だ。絵本作家だけに、絵がとても柔らかいのも良い。

死後を考える。

ありそうでなかったテーマかもしれない。死別したおばあちゃんと再会できる話
は地味に泣ける。「死」を前向きに楽しもうという発想は新鮮だった。

誰しもが必ず直面する死。

こんな受け入れ方もあるんだと、目から鱗だった。

お薦めの一冊。





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ハードル

2017-05-09 20:08:14 | 
「黄金のバンタムを破った男」百田尚樹著を読んだ。


先日、亀田兄が何かの企画で素人3人と対戦し、もし素人の誰かが勝てば1000万円貰えるなどと
いうのをやって話題になっていたが、これを読むと近年のボクシングは、随分、やわになったな
と思わざる得ない。

ひと昔前、ボクシングの世界チャンピオンはわずか8人しかいなかった。つまり8つの階級に、
それぞれ1人すつの王者がいただけだ。ちなみに現在は17階級、しかもチャンピオン認定団
体も増えて、主要の4団体がそれぞれチャンピオンを認めていて、その総計は70人ほどにも
なるらしい。

これだけでもチャンピオンのハードルが随分、下がったのがわかる。
まぁ、それでも大変なことは大変なんだろうけれど…。

私などボクシングなんて全く興味はないけれど、、子供の頃、「あしたのジョー」だけは
良く見ていた。そんなあしたのジョーの丹下段平と矢吹丈のモデルになったのは、協栄ジムの
初代会長の金平氏と海老原博幸という人物で、この2人には有名な伝説があった。

協栄ジムの金平会長は、ボクサーだったが、体力の限界を感じて現役生活を引退してトンカツ屋を
開いた。開店の日、店の前のアルバイト募集の貼り紙を見て一人の少年がやってきた。ガリガリに
痩せていたが、バネのありそうな身体を見た金平は、少年にその場で縄跳びをさせた。
しなやかにロープを跳ぶ少年の動きを見た金平は、何と即座にトンカツ屋をたたみ、ボクシングジム
を作った。この少年こそ、後の世界フライ級のタイトルを2度にわたって獲得した海老原博幸だった、
という話だ。

これだけでも、大変、面白い話だが、読み終えると、ちょっと元気が出るというか、なかなか
熱くなる内容でもあった。

でも、やっぱり亀田兄弟のボクシングはちょっと…。

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深夜に読むのが…

2017-02-18 20:57:31 | 
大阪への道中、「コーヒーが冷めないうちに」川口俊和著を読んだ。

小説の舞台はとある小さな古めかしい喫茶店。そこには不思議な席があり、その席に
座ると過去に戻れるという話だ。

けれどそこには、「未来は変えることはできない」という絶対的なルールがある。
物語は、4人の人間が過去に戻る4つの話しで構成されている。
40台後半の私には、エピソードと結末にちょっと物足りなさを感じてしまったが、それ
でも、なかなか切なくて一気に読んでしまった。

過去を変えても、未来の現実は変わらない。けれど、今の心持によってこれからの未来
は変わる、らしい。

どうとるかは人それぞれ…。

過去に戻って誰かに会えるとしたら、誰に会いにいくだろう…と真剣に考えてしまった。

ゆっくり深夜に読むのがお薦めの本。

そうそう、決算書、早く作らねば…。





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放言

2017-01-16 21:15:16 | 
今日は、朝から大阪へ。

車内で、百田尚樹著「大放言」を読んだ。「永遠のゼロ」すらも読んでなく、この人の本を実は
まだ一度も読んだことがなかった。

百田氏と言えば、数々の放言がマスコミにたたかれていることでも有名だ。思考もかなりライト
ウィングな方というイメージもある。確かにあの早口のしゃべりの中での言葉を一部だけ切り取
れば、マスコミが喜ぶネタを拾い出すことは簡単だろうと思う。だから、格好の餌食になるのは
わかる。

この本はそれを逆手にとって、自分の言いたかったことを思うままにぶちまけた本であり、その点
では痛快だった。まぁ、当たり前のことが当たり前に書かかれているような気がするけれど、左巻
きの人からすれば、むかっ腹が立ったに違いない。

この人の場合、いくら叩かれても、本業で実績を積み重ねていれば、マスコミのバッシングなど、
屁でもないし、それをあえて楽しんでいるようにも思える。ある意味、本当に強い人だと思う。

最後に今までの放言のいきさつと、取り上げられた部分を含むその文脈全体が書かれている。
たしかに、「放言」ではあるけれど、マスコミの言葉の切り取りも相当酷いものがあり、何か
別の意図を感じるほどだった。

けれどこの本を読んだ多くの人が、マスコミ批判に回ってくれたら、まさに著者の本望だと思う
ので、それはそれで望みは叶ったのではないかと思っている。






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万里茶路

2016-07-25 20:21:23 | 
今日は朝から大阪へ。

道中読んだ本。「デイープ過ぎるユーラシア横断鉄道旅行」下川裕治著書。先月出たばかりの
本だった。シンガポールのウッドランド駅からユーラシア大陸、最北端の駅、ロシア、ムルマン
スクまで鉄道で行くというもの。

彼の旅本は、28年くらい前の「12万円で世界を行く」から、ほとんど一緒だ。
ともかく移動に次ぐ移動で、その乗り継ぎの間に街を歩くとすぐにまた、次の移動に列車や
バスに揺られる。LCCで世界一周の時も、着いた街に一泊すると、すぐにまた次の国へ飛んで
しまう。時々、一つのテーマで一つの国巡るという旅でも、やっぱりその国の中での移動が
メインになっている。

本書は、ユーラシア横断という名目と、もう一つのテーマに沿って進んで行く。

それが、「万里茶路」というお茶のシルクロードだ。清の時代、福建省や湖南省から産出された
茶葉が内モンゴル、モンゴルを経由してロシアのシベリアに運ばれる。そこからさらに西に向か
ってモスクワを経て、当時のサンクトペテルブルグまでの流通経路を「万里茶路」と言ったらし
い。当時はラクダや馬ぞりで運んだそうで、年単位の時間を要したとか。

その経路は、今の中国からモンゴルを経て繋がるシベリヤ鉄道と重なるそうで、まぁ、単に、こ
じ付けのような気もしなくはないが、一応、途中途中で、かつての茶葉の産地やら、倉庫の跡地
などをを訪れることで、それらしく繕っている。
さらに今回は珍しく、茶葉に精通する方を同行して旅をしているのが目新しい。

とはいっても、いつもの移動ペースは変わりなく、一体、そこまで急ぐ必要性がどこにあるのか、
と毎度の疑問が生じた。

それにしても、つくづく落ち着きのない人だなと思う。そして、いつも同行するカメラマンは辛
いだろうなと思いながら読んでいる。さらに今回は、被害者がもう一人…。

ただ、読み終えて、なんとなく夜行列車に揺られたくなったのは確かだった。


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雪男は向こうからやってきた

2016-04-13 20:29:50 | 
今日は朝から大阪へ。

道中、「雪男は向こうからやってきた」角幡唯介著を読んだ。

雪男を信じない著者による雪男探索記である。私は、探検や冒険モノが大好きだが、
読む前から見つからないのはわかっている。そもそも、見つかっていたら大騒ぎだし、
私も知らないわけがない。

結局、最後まで雪男存在の決定的証拠は見つからない。探索そのものはつまらな
いものだ。カメラを構えて、ずっとターゲットとなる場所を監視し続けるだけだ
からだ。けれど、この本を読むと、「もしかすると雪男って本当にいるのではな
いか…」と思えるから不思議だ。

そしてこの本には、フィリピンで、あの小野田さんを発見した若き日の「鈴木紀夫氏」
が関わっていたのが意外だった。
しかも、彼の奥さんや母親にまで会っている。
鈴木氏はヒマラヤへ雪男を探しに行き、雪崩で亡くなっている。1987年のことである。

それにしても、終始、雪男の存在を信じられない目線での探検記は珍しいかもしれない。

次は「アグル―カの行方」も読んでみたい。





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しくじり先生と○方さん

2016-02-21 21:14:47 | 
少し前、知り合いのお客さんが「読みたかったら貸してあげる…」と
言って置いていった本、STAP細胞の小保方さんが書いた「あの日」を
読んだ。

少しづつ、暇なときに読んでいたのが、先日、やっと読み終えた。

私は、小保方さんの一連の騒動のことを実はあまり知らなかった。
報道されている内容についてもテレビがたまたまついているときに見たくらいで
新聞でも流し読みをする程度だった。週刊誌も一切読んでいないし、自ら進ん
でネットで調べたこともない。なので一連の騒動のことをこんなに深く知ったの
はこの本が初めてだった。

本を読む前までは、「彼女が不正をしたのだろう…」と思っていた。しかしこの本
を読めばその疑惑は完全に消える。そりゃあそうだ。この本は小保方氏が自らの潔
白を証明するために書いた本だからだ。自分の手記に「自分が不正をしました…」
と書くはずがない。真実は、わからない。ただ、この手記を読めば、多くの人が、
小保方擁護にまわるだろう。そういう意味では、とても良くできた反論手記である
ことは確かだ。

掻い摘むと、「ES細胞の混入」も「再現実験の失敗」も重要なカギを握っているのは
若山教授だ。小保方バッシングが始まると手のひらを返したように彼女を悪人に仕立
て上げた論文の共著者である。小保方氏の主張からは彼が最後の黒幕のようにも読め
る、というか彼を完全に疑っている。

そして「再現実験が失敗した=STAP細胞はなかった」という単純な構図ではないとい
うこともわかってくる。実験は誰がやっても同じではないこと、その人にしかできな
い実験があることなど、私たち一般人にはわからない科学の世界を知ることができる。
研究の上流工程を行っていた若山教授がいない状態で、どう再現しろというのか。こ
の本を読むと再現実験の難しさがよくわかる。

これは料理で考えるとよく理解できる。同じ材料を渡され完全なレシピがあっても
味は人によって違うものになる。実験もそれと同様なところがあるらしい。

とはいえ、真実はわからない。

すでに、一応、STAP細胞の再現実験は失敗ということで終わっているし、大方、小保方
氏の責任で、という結論もある程度定着してしまっている。

この本が出たからと言って、一連の騒動を検証する機運が高まり、小保方氏の潔白が
証明されることは難しいだろう。マスコミも、これまでの態度を全否定することにな
るようなことは望まないだろうし…。

ただ、どうであれ、彼女がしくじったのは確かだ。

もう少し、強いインパクトで反論したいなら、ここは思い切って「しくじり先生」
これに出るしかないだろう。

もっとも、彼女自身、「しくじった覚えはない、ハメられたのだ…」と思っている
だろうけれど…。


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