忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

背負わされた重荷の代償

2017-09-12 | 追憶

 【 闇を背負わされた兄の錯乱 】 今治市 女性( 81・無職 )

 ◇私が小学4年生の夏に戦争は終わった。その秋、5歳上の兄が予科練から帰ってきた。私はうれしくて兄に付きまとった。もっと話がしたくて、予科練のことも聞きたくて、兄への興味は尽きなかった。
 ◇そんな日常での夕食時、突然兄がチャブ台をひっくり返した。力の限りたたきつけた。私はただ怖いだけで何もわからない。母は兄をしっかり抱き締め、私をにらんでいる。「さっさと片付けなさい!」。母の声は鬼のようだった。母は知り尽くしていたと思う。厳しい規則や訓練の中で、どんなに苦しい思春期を兄が過ごしてきたかを。指導という体罰に耐え、身も心もズタズタにゆがめられていたことを。
 ◇幸せを受け入れる準備などできていない兄の錯乱した心の闇が理解できるようになったのは、だいぶ後のことだった。戦争には行かなかったけど、予備の兵士として駆り立てられた少年は全国にどれほどいたのか。年端もいかない少年たちが背負わされた重荷の代償は小さくない。]
                     《 こだま 読者の広場 【 終戦の日に思う 】 》 地方紙「投稿欄」より

 ( 忘却への扉 ) 私も職場で、兵隊上がりの先輩から、殺戮(虐殺を含む)や軍隊内部のいじめ体験を苦々しく語るのをよく聞いた。
 黙っていられないのだが、誰にでもは話せない。私は口が堅くできるだけ聞き役に徹し、戦争(非戦)に深く関心があると分かってのこと。だが戦地に出兵体験を持つと分かっていても、黙ったままの人もいた。喋れないほど重い傷を背負っていたのだろうか。
 戦争体験者に精神的に追い込まれた人が多数いるのは、昔も今も同じだと思う。政府に軍部、軍需関係会社や戦争をさせる側は平気かもしれないが、させられる立場には命の保証も奪われ、精神的にも追いつめられる。他国だから簡単に破壊し、殺せるものでもないはず。


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