「なぜこの会社はモチベーションが高いのか ~働く皆が幸せな会社~」 坂本光司・著、商業界、2009年9月25日
p.2 筆者はこうした「ヒト」であれ「人材」であれ、社員を他の経営要素、経営資源と並列に扱うような経営の考え方・進め方には反対です。また筆者は「人材」という文字も嫌いです。材料ではあるまいし、「人財」という文字を使うべきなのです。
というのは、「モノ」であれ「カネ」であれ「技術」であれ、はたまた「情報」であれ、人財である社員がつくり、利活用する経営要素、経営手段だからです。加えていえば、好況を持続するのも、また不況を克服するのも、その唯一の経営資源は、新しい感動的価値の創造的担い手である人財をおいて、他には存在しないからです。まさに企業の盛衰は、人財の有無やその優劣にかかっているといっても過言ではありません。
p.3 業績不振の企業のリーダーたちは、これとは逆に、自社の業績を高めることや、会社を成長発展させることこそ自身の最高・最大使命と勘違いし、まるでアメとムチを社員の目の前にぶら下げたような、社員への愛や社員の幸福を実現しようという気持ちがまったく感じられない経営を実践してきたのです。
p.13-4 「企業の業績が高い結果として、高賃金が支給され、また福利厚生も充実し、その結果として社員のモチベーションが高まるのでは・・・・・」と、疑問を持つ読者もいるかもしれませんが、それは誤解です。
p.14 私は不況という経済現象は、いつの時代も経営者や社員という内部人財と顧客という外部人財の「2人の人財」によって人為的に創られるものと、いつも理解認識しています。というのは、ミクロである企業の不況とは、時代・顧客が求める新しい感動的価値の創造力や提案力が低下、あるいは比較劣位化することにより訪れるからです。
p.14 また欺瞞に満ちた経営や人を犠牲にしたような経営を行う人々に対する買い控え運動によっても、ミクロ、つまり企業の不況は訪れます。まさにミクロである企業の不況は、時代・顧客が求める新しい感動的価値の創造的担い手たる社員と、そのサービスを受ける顧客のモチベーションの低下によりもたらされるといっても過言ではないのです。
p.17 このように売上高の動向別で見ても経常利益率の動向別で見ても、社員のモチベーションが高い企業ほど、その業績も高く、逆に社員のモチベーションが低い企業ほど、その業績も低いということが分かります。その意味では経営者をはじめ組織のリーダーたちは、企業の業績を高めることを最優先した経営を行うべきといえます。
p.22 一般社員への「職場ではどんな時に一番生きがいを感じますか」という設問に対し、最も多かったのは「仕事が面白いと感じる時」28%、以下「自分の仕事を達成した時」23%、「自分が進歩・向上していると感じる時」17%、そして「自分の仕事が重要だと認められた時」12%と続いています。一方「賃金・福利厚生等が良い時」や「昇進する時」は、いずれもわずか1%程度となっているのです。
p.32 「社員の情報を正直に公開できない企業が、お客さまに対して正直でいられるはずがない」というのが上田社長の持論です。
p.56 伊藤社長の願いは「社員の夢を叶えられる会社にしたい」ということ。日本電鍍工業を「100年企業」にして、皆が安心して勤められる会社となればよいと考えています。
p.61 「私たちは病院規模を拡大せず、小規模経営に徹してきました。それは最終的には医療の質を維持するためですが、もう一つは職員と患者様全員の顔が見え、コミュニケーションを保てる人数の限界という意味で現状の規模にこだわりたいというのが経営者としての私の哲学であり、信念でもあるのです」
p.61 「成長よりも成熟が大切です。小規模であっても社会的価値を創造し続けることができる病院として充実していくこと。この時代に生き残っていくためには人が集う病院、人を引きつける病院、いわゆるマグネットホスピタルになっていくことが必要です。まずは職場としての魅力を備え、働く人たちに納得し、満足してもらえる環境をつくること。そして『ここで働きたい』と思われる病院になること。病院の質は規模の大きさでは決まりません。」
p.63 「待遇などの条件だけで仕事をする人は経営者がどんなに心血を注いで想いを語りかけても結局、組織に定着させることはできません。雇用条件によって職場を選ぶような価値基準の異なる人を採用していては職員が定着しない悪循環から脱することは難しいのです」
であるならば価値観を共有できる人の採用に徹底的にこだわろうということです。
p.67 「仕事とは人に感動を提供すること」
p.86 「働くスタッフが不満を抱え楽しさを感じられずに働いていたら、美味しい菓子をつくったり、良い接客ができるわけがない」
p.89-90 それでもオープンキッチンにこだわる理由は、パティシエにお客様を感じてもらいたいからです。どんなお客様が自分の作ったお菓子を食べてくれるのか、そのお客様がどのような表情で買いに来るのか、どれだけ楽しみに待っていてくれるのかを実際に見てもらうことが大切だと考えるからです。
p.96 教える教育ではやるべきことを指示されるため「なぜ、それを行うのか?」という本質を理解しないまま行います。そのため作業をすること自体が仕事となってしまいます。それではいつまでたってもやらされ感が抜けず仕事を楽しめません。 #edu
p.109 「伝統とは革新の連続」
p.122 課題としては田島社長曰く「経営理念を納得して理解し自らの行動で示してくれる」「周囲の人が喜んでくれることが仕事の上で最大の喜びと理解する」スタッフをどれだけ増やせるか、どれだけ社内に浸透できるかだといいます。
p.133 「夢をあきらめるな!バカとよばれてもいいじゃないか!(Stay Hungry. Stay Foolish)」
p.182 「社員が成長すれば、お客様が喜ぶ。お客様が喜べば、会社の売上や利益が上がる。会社の売上や利益を気にするのなら、社員の成長を気にすれば良い」
p.190 管理職はその組織がお客様の満足と幸せのために果たすべき使命・役割を部下に対して、明確に示さなければなりません。そしてその実行に際しては、可能な限り権限の委譲を行い、部下が常に最高の状態、最善の方法で職務に専心できるよう良い環境を準備するとともに、継続的にサポートしなければなりませrん。そして部下が成長したならば、邪魔にならないようにしなければなりません。
p.190-1 社員のモチベーションが高い企業においては、好不況にかかわらず人財の育成に注力しているばかりか、より人財たらんと意気込む人々をあらゆる機会をとらえ、発掘・発見する努力をしているのです。そして、こうした社員にこそチャンスを与え続けていくのです。
p.191 モチベーションの高い企業や組織、さらにはその結果としての業績の高い企業には、もともと優秀な社員、モチベーションの高い社員が豊富にいたわけではなく、普通の社員をモチベーションの高い人財に変身させてしまう魅力的なトップとミドルの存在と見事な組織風土・企業文化が形成されているのです。
しかしながら一方、社員のモチベーションの低い、その結果として業績が低い企業においてはこのことがまったく逆で、せっかく人財たらんと意気込む社員が自身の目の前にいるにもかかわらず「管理」という名の冷たい刃物で、みすみすそのやる気を削いでしまっているのです。
p.192 「株主等出資者」を追求すると、どうしても短期の業績に目を奪われ、「社員とその家族」「社外社員とその家族」(外注企業・下請企業)「現在顧客と未来顧客」「地域住民」への思いが弱くなってしまうのです。
p.195 仕事に対するやりがいを簡単にいうと、「仕事を通じて、自身の成長が確認できる」とか「自分が担当している仕事が真に世のため、人のために役だっているという実感がある」とか、さらには「主体性を持って、仕事に取り組んでいる」といった状況です。
p.203 経済的にはある程度豊かさを手に入れた社員は、今やお腹を満たす制度や社内競争激化させる制度ではなく、心を満たす制度の方がより重要と判断しているのです。
p.2 筆者はこうした「ヒト」であれ「人材」であれ、社員を他の経営要素、経営資源と並列に扱うような経営の考え方・進め方には反対です。また筆者は「人材」という文字も嫌いです。材料ではあるまいし、「人財」という文字を使うべきなのです。
というのは、「モノ」であれ「カネ」であれ「技術」であれ、はたまた「情報」であれ、人財である社員がつくり、利活用する経営要素、経営手段だからです。加えていえば、好況を持続するのも、また不況を克服するのも、その唯一の経営資源は、新しい感動的価値の創造的担い手である人財をおいて、他には存在しないからです。まさに企業の盛衰は、人財の有無やその優劣にかかっているといっても過言ではありません。
p.3 業績不振の企業のリーダーたちは、これとは逆に、自社の業績を高めることや、会社を成長発展させることこそ自身の最高・最大使命と勘違いし、まるでアメとムチを社員の目の前にぶら下げたような、社員への愛や社員の幸福を実現しようという気持ちがまったく感じられない経営を実践してきたのです。
p.13-4 「企業の業績が高い結果として、高賃金が支給され、また福利厚生も充実し、その結果として社員のモチベーションが高まるのでは・・・・・」と、疑問を持つ読者もいるかもしれませんが、それは誤解です。
p.14 私は不況という経済現象は、いつの時代も経営者や社員という内部人財と顧客という外部人財の「2人の人財」によって人為的に創られるものと、いつも理解認識しています。というのは、ミクロである企業の不況とは、時代・顧客が求める新しい感動的価値の創造力や提案力が低下、あるいは比較劣位化することにより訪れるからです。
p.14 また欺瞞に満ちた経営や人を犠牲にしたような経営を行う人々に対する買い控え運動によっても、ミクロ、つまり企業の不況は訪れます。まさにミクロである企業の不況は、時代・顧客が求める新しい感動的価値の創造的担い手たる社員と、そのサービスを受ける顧客のモチベーションの低下によりもたらされるといっても過言ではないのです。
p.17 このように売上高の動向別で見ても経常利益率の動向別で見ても、社員のモチベーションが高い企業ほど、その業績も高く、逆に社員のモチベーションが低い企業ほど、その業績も低いということが分かります。その意味では経営者をはじめ組織のリーダーたちは、企業の業績を高めることを最優先した経営を行うべきといえます。
p.22 一般社員への「職場ではどんな時に一番生きがいを感じますか」という設問に対し、最も多かったのは「仕事が面白いと感じる時」28%、以下「自分の仕事を達成した時」23%、「自分が進歩・向上していると感じる時」17%、そして「自分の仕事が重要だと認められた時」12%と続いています。一方「賃金・福利厚生等が良い時」や「昇進する時」は、いずれもわずか1%程度となっているのです。
p.32 「社員の情報を正直に公開できない企業が、お客さまに対して正直でいられるはずがない」というのが上田社長の持論です。
p.56 伊藤社長の願いは「社員の夢を叶えられる会社にしたい」ということ。日本電鍍工業を「100年企業」にして、皆が安心して勤められる会社となればよいと考えています。
p.61 「私たちは病院規模を拡大せず、小規模経営に徹してきました。それは最終的には医療の質を維持するためですが、もう一つは職員と患者様全員の顔が見え、コミュニケーションを保てる人数の限界という意味で現状の規模にこだわりたいというのが経営者としての私の哲学であり、信念でもあるのです」
p.61 「成長よりも成熟が大切です。小規模であっても社会的価値を創造し続けることができる病院として充実していくこと。この時代に生き残っていくためには人が集う病院、人を引きつける病院、いわゆるマグネットホスピタルになっていくことが必要です。まずは職場としての魅力を備え、働く人たちに納得し、満足してもらえる環境をつくること。そして『ここで働きたい』と思われる病院になること。病院の質は規模の大きさでは決まりません。」
p.63 「待遇などの条件だけで仕事をする人は経営者がどんなに心血を注いで想いを語りかけても結局、組織に定着させることはできません。雇用条件によって職場を選ぶような価値基準の異なる人を採用していては職員が定着しない悪循環から脱することは難しいのです」
であるならば価値観を共有できる人の採用に徹底的にこだわろうということです。
p.67 「仕事とは人に感動を提供すること」
p.86 「働くスタッフが不満を抱え楽しさを感じられずに働いていたら、美味しい菓子をつくったり、良い接客ができるわけがない」
p.89-90 それでもオープンキッチンにこだわる理由は、パティシエにお客様を感じてもらいたいからです。どんなお客様が自分の作ったお菓子を食べてくれるのか、そのお客様がどのような表情で買いに来るのか、どれだけ楽しみに待っていてくれるのかを実際に見てもらうことが大切だと考えるからです。
p.96 教える教育ではやるべきことを指示されるため「なぜ、それを行うのか?」という本質を理解しないまま行います。そのため作業をすること自体が仕事となってしまいます。それではいつまでたってもやらされ感が抜けず仕事を楽しめません。 #edu
p.109 「伝統とは革新の連続」
p.122 課題としては田島社長曰く「経営理念を納得して理解し自らの行動で示してくれる」「周囲の人が喜んでくれることが仕事の上で最大の喜びと理解する」スタッフをどれだけ増やせるか、どれだけ社内に浸透できるかだといいます。
p.133 「夢をあきらめるな!バカとよばれてもいいじゃないか!(Stay Hungry. Stay Foolish)」
p.182 「社員が成長すれば、お客様が喜ぶ。お客様が喜べば、会社の売上や利益が上がる。会社の売上や利益を気にするのなら、社員の成長を気にすれば良い」
p.190 管理職はその組織がお客様の満足と幸せのために果たすべき使命・役割を部下に対して、明確に示さなければなりません。そしてその実行に際しては、可能な限り権限の委譲を行い、部下が常に最高の状態、最善の方法で職務に専心できるよう良い環境を準備するとともに、継続的にサポートしなければなりませrん。そして部下が成長したならば、邪魔にならないようにしなければなりません。
p.190-1 社員のモチベーションが高い企業においては、好不況にかかわらず人財の育成に注力しているばかりか、より人財たらんと意気込む人々をあらゆる機会をとらえ、発掘・発見する努力をしているのです。そして、こうした社員にこそチャンスを与え続けていくのです。
p.191 モチベーションの高い企業や組織、さらにはその結果としての業績の高い企業には、もともと優秀な社員、モチベーションの高い社員が豊富にいたわけではなく、普通の社員をモチベーションの高い人財に変身させてしまう魅力的なトップとミドルの存在と見事な組織風土・企業文化が形成されているのです。
しかしながら一方、社員のモチベーションの低い、その結果として業績が低い企業においてはこのことがまったく逆で、せっかく人財たらんと意気込む社員が自身の目の前にいるにもかかわらず「管理」という名の冷たい刃物で、みすみすそのやる気を削いでしまっているのです。
p.192 「株主等出資者」を追求すると、どうしても短期の業績に目を奪われ、「社員とその家族」「社外社員とその家族」(外注企業・下請企業)「現在顧客と未来顧客」「地域住民」への思いが弱くなってしまうのです。
p.195 仕事に対するやりがいを簡単にいうと、「仕事を通じて、自身の成長が確認できる」とか「自分が担当している仕事が真に世のため、人のために役だっているという実感がある」とか、さらには「主体性を持って、仕事に取り組んでいる」といった状況です。
p.203 経済的にはある程度豊かさを手に入れた社員は、今やお腹を満たす制度や社内競争激化させる制度ではなく、心を満たす制度の方がより重要と判断しているのです。