Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

朝青龍引退

2010-02-05 00:15:00 | 時事
朝青龍が引退しました。

やはり落としどころはこれしかないと言うところなんですが、それにしてもやりきれない思いが残る引退です。

相次ぐバッシングに、他の力士なら無問題のことでも針小棒大に騒ぎ立てられると言う異常事態、しかもメディアだけでなく、協会や横審といった「身内」までバッシングというのは、第一人者に対する態度として非常に疑問を感じます。

そういう逆風の中でこういう「事件」を引き起こしてしまうのはやはり脇が甘いわけですが、よしんば上手に耐えていても、この状況だとそのうちどんな難癖、いや、罠にはめてでも葬り去ろうとしかねない状況ですから、今回のレベルでの「引退」はまだマシだったのかもしれません。

引退を報じるメディアを見ると、早くも朝青龍の功績を無視してマイナス面だけをあげつらったり、事実を枉げているケースが出ており、そのうち黒歴史化するのでしょうね。

一連のバッシングの発端となった「モンゴルでサッカー」にしても、帰国時に「母国の英雄」に対してモンゴル政府が出場を依頼したものですし、しかもチャリティと言う、非常に公的性格の強いイベントだったことがどう見ても故意に伏せられて、「巡業をサボってサッカーに興じた」「仮病」と、事実と異なるレッテルを定着させています。

特にこれを最初に報じたメディアグループは、引退の時まで批判記事の量は群を抜いており、角界で何かあると朝青龍の「不祥事」を例に挙げるといったこじつけまで繰り出してのバッシングには、なにか為にする意図があるのか、それとも実は日蒙親善の場にケチをつけてしまったことで引っ込みがつかなくなり、あそこまで突っ張らざるを得なかったのか、いずれにしても異様でした。

モンゴル政府が、所詮は一介の興行元に過ぎない相撲協会に謝罪を文章でするという、本来、分不相応な待遇で謝罪をしているのに、勧進元への義理でもあったのか、巡業部あたりが強硬に朝青龍処分を断行したわけです。

ついでに言えば、当時の巡業部長は朝青龍が台頭するまではモンゴル人力士と言えばこの部屋、というャWションにあったわけで、番付が総てのこの世界、モンゴルとのパイプが朝青龍に移ってしまったという鞘当てが無かったとは言いきれません。そこにモンゴル政府お声鰍ゥりの公式行事飛び入りで日蒙親善の旗手としてさらなる名声、と言うのが我慢ならなかったのかもしれません。

余談を続ければ、この親方が先般の理事選で「身内」から貴乃花親方の支持に回られて割を食ったわけですが、角界の体質改善を唱える貴乃花親方を通すために支持を失うと言うことは、貴乃花親方の路線とは相容れない存在ともいえるわけで、こうした「評価」からも朝青龍問題の時の「正論」の底が知れると言っては言い過ぎでしょうか。


今回の引退を報じるメディアの中には、いけしゃあしゃあと「旧態依然の体質からの決別を」とか「一般市民の常識を踏まえて」とか言ってますが、だったらまず発端の「モンゴルでサッカー」を総括すべきでしょう。母国政府の要請でチャリティイベントに出席することを固辞するのが正しい選択なのかどうか。それを強硬に批判する協会が本当に正しいのか。

そもそも本場所と巡業の間の期間に帰国することもケシカランと騒いできたのがメディアですが、「オフ」の行動を24時間縛るのが世間基準の常識でしょうか。
相撲取りには最高位の横綱であっても一切の自由(=人権)が無いと、日ごろ人権を声高に唱えるメディアは堂々と述べて、自分たちの「人権意識」を読者、視聴者に判断してもらう必要があります。

そして品格云々も茶番でしょう。
先に任期を終えた横審の某女性委員の如く、土俵上の所作に品格の名で理不尽ないちゃもんをつけてきたわけです。鷲掴みのしようもない分厚い懸賞金の持ち方が気に食わないとか、左利きなのに利き手で持ったら気に食わないとか、ここまできたら因縁です。

そしてダメ押し云々にしても、攻め込んだほうが勝負あって力を抜いた相手を流れでさらに圧唐オてしまうのはある意味当然です。
だったら勝負がついた後、敗者のくせに勝者を小突いた白鵬など、横綱の品格どころか力士としての資格すらないはずですが、なぜかこれもスルーどころか、勝った朝青龍のダメ押しに原因が、と呆れかえる理由まで持ち出して白鵬を不問にしたわけです。

こうした事実が葬り去られるわけです。こうしたダブルスタンダードで朝青龍をいびりぬいたのがほかならぬメディアと協会、横審ですから、ほどなく作られた「悪役・朝青龍」像が「正史」となるのでしょうね。