庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

原子力規制委員会は大甘に避難対象を設定してお茶を濁す。

2012-10-03 | 核エネルギー・原子力問題
新たに発足した「原子力規制委員会」は、原発事故時に避難や屋内退避の備えをしておく「重点区域の対象地」を拡大した。
福島原発の大事故前には、わずか10km圏内の自治体だけに限定していたが、
事故の実態から見直して、30km圏内の自治体にまで拡大する案を提示した。
しかし、福島県内の60km圏内の自治体は除外されている。
60kmも離れた川俣町にまで「放射性物質」が大量に飛散した事実に対して、何の説明もなしに、重点区域ではない、とされている。

アメリカでは、重大事故時には、50マイル(80km)圏内まで、避難勧告が出されるルールがある。
日本人はアメリカ人よりも「放射性物質には強い」とでも言いたいのだろうか、
とにかく出来る限り、避難する準備をする自治体の数を減らしておきたかった様である。
それでも、事故前には対象市町村が45であったのを、135に増えるので、少しは改善されることになる。
この対策の費用は、当然、原発を稼働する電力会社の負担になる。

旧の組織「原子力委員会」の近藤駿介委員長は、「日本の過酷事故対策は詰めがあまかった。」と、人命よりも「原発事業者の都合を優先してきた」日本の原子力政策の誤りを語っている。
新組織の「原子力規制委員会」は、この様な最悪事故に対応する、「防災計画の体制整備」を優先的にあげていた。
しかし、この程度のことで、住民の安心を得ることが出来ると考えていたら、やはり原子力ムラから抜け出られない【原発企業に甘い】体質は変わらない。
135の市町村も、その外側周りの住民も、これで「原発の再稼働」を容認することは、全くないであろう。

世界で最も地震と津波被害大きい日本で、避難計画が出来たから安心などとは、誰も思わない。
天災、人災、テロ災害の可能性を最悪時まで想定し、「悪い時には更に悪いことが起こると考えるのが、事故対応を考える人間の基本」である。
これは、先の原子力委員会の近藤駿介氏の言葉だ。

新原子力規制委員会のメンバーは、大事故を防げなかった【前委員長】よりも、安全思想は後退してしまった様である。
【のど元過ぎれば熱さを忘れる】のか?

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。