バイオ燃料の製造には、原料となる植物の大量培養が必須であり、世界中で「藻類の培養」が研究されている。
必要となる資源は、「太陽光」と「水」と「炭酸ガス」で、光合成が行われる。
アメリカでは、広大な国土があるので、太陽光は、十分すぎるほどにある。
周辺に「水」と「炭酸ガス」を供給する設備、つまり、火力発電所があれば、大量の「藻類の培養」が可能になる。
現段階での研究では、商業化ができる段階につき進んでいる状況である。
日本の研究組織でも、このアメリカの研究にならって、「藻類の選別」を行っているが、培養の効率や設備の面で、大きく遅れている状況である。
何しろ、日本では土地が限られているので、【土地代が高い】不利な環境にある。
さらに、アメリカの【日照率が良い地域に比べて、日本では半分】程度になる。
梅雨時とか、雨の多い日が続く季節には、藻の培養効率が大きく落ちる。
その上に不利なのは、「炭酸ガス」を供給してくれる、火力発電所が近くにない。
【遠隔地にある火力発電所】で、「炭酸ガス」を分離して輸送するのでは、コストがかかってしまう。
この様な状況にあるので、日本で「藻類からのバイオ燃料」の製造には、上記の【三重苦】がのしかかって、生産コストが圧倒的に不利になる。
それに加えて、日本政府のバイオ燃料への取り組みは、まったく、おざなりの姿勢であり、アメリカやヨーロッパの研究成果を様子見しているだけである。
アメリカで事業が成立したら、それを日本に技術輸入すれば、無駄に研究開発の費用をかける必要が無い、という魂胆だ。
高度経済成長時代に、アメリカの後追いをしながら、その中で、日本的な特徴を入れて独自性を出せば、事業採算性は成り立つ、との甘い想定である。
これでは、欧米から遅れるばかりで、【日本は取り残される】と言い出した民間企業側では、研究組合を作って開発を促進しようとし始めた。
とにかく、2020年の東京オリンピックには、航空機用にバイオ燃料を使える様にしようと言うのだ。
どのくらいの数量を必要としているのか不明だが、目標の製造コストよりも、「大幅に高い燃料」をなってしまうのは目に見えている。
日本人の特徴は、お祭りがあると、多少の物入りが多くても、とにかく、ご祝儀のつもりでおカネを出す。
こんなことで、本当に良い技術ができるのか。(続)