輸送用燃料の脱石油の動きは、日本政府や石油業界に任せていては、今後の10年、20年経っても、まともな量産品が開発出来ない。
アメリカや欧州諸国の「バイオジェット燃料」、「バイオディーゼル燃料」の開発技術が進んで、量産品を輸入する段階まで、このママで行くつもりの様だ。
その時期になってから、やっと、石油の輸入依存が少しは緩和される様に、アメリカ産「バイオジェット燃料」を輸入するつもりの算段であろう。
「バイオディーゼル燃料」についても、ヨーロッパの技術開発の成果が見えてから、輸入することしか、頭にはない様である。
だが石油資源は、政情が不安定な中東地区から大半を輸入しているので、石油や天然ガス輸入が途絶える事態が想定される。
安定した国からの輸入(アメリカ、ヨーロッパ諸国)に切り替える意義はあるが、国内生産の比率を上げる様にしないと、本当の安全保障にならない。
アメリカの石油自給率は、39%でオイルシェールによる開発が進んで、今では50%を超える勢いである。
安全保障の戦略上は、100%超えるまでは、石油代替のバイオ燃料を海外に輸出することはないと想定した方が妥当である。
ヨーロッパ諸国の石油自給率は、ドイツが4%、フランスが2%である。
今から50年間は、石油代替のバイオ燃料製造をしても、輸出は絶対にしない。
ということは、安定した国からのバイオ燃料輸入はあり得ない、と見るべきだ。
つまり、バイオ燃料の原料となる作物を大量に栽培できる国に、「バイオ燃料の製造工場」を設置して、そこからの輸入に依存することになる。
この地域がどこになるかは、今のところ定かではないが、安定した地域になるとは限らないで、局地紛争が起きる可能性は十分に想定される。
つまり、石油の代替燃料が開発されても、海外に生産工場を設置する構想では、不安定な中東地域から、少しは不安の少ない地域からの輸入依存になる。
長期間をかけて、安心度が少し向上する様な「エネルギー戦略」を立てるのは、賢い戦略とは言えない。
これから本格化する「脱石油燃料戦略」を構想するならば、原料の段階から国内で生産されて、一貫して「国内に製造工場を設置」するのがベストである。
それには、日本の国内で大量に入手できる「原料作物(植物)の栽培計画」が、基盤になるのだ。
日本の近海で栽培できる「大型海藻」は第一候補である。(続)