庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

新産業を育成するには規制の構造改革が大きな効果を示す。

2010-02-18 | 経済問題
日本の経済を活性化させるには、世界の流れを先読みして方向性を見定めて、誘導的な規制を強化していくことが、効果的である。
ただし、何でも規制で進めることは適切ではない。
むしろ規制を緩和して、企業の効率的な活動の自由度を上げて、意欲ある事業者の支援をすべき状況も多くある。
産業の構造改革を進めるためには、方向性をよく見ると同時に規制構造を改革して、北風ばかりでなく太陽をあてる必要もあり、それは適切な規制緩和で実施する必要がある。

2月26日の朝日新聞(夕刊、1面)に、適切な方向に規制緩和をする動きの報道が載せられた。
再生可能エネルギーの一分野の地熱発電に関して、政府はようやく導入促進の姿勢に転じた。
要点を述べると、地熱発電とは地球のマグマによって熱せられた高温の水蒸気を利用して、発電のエネルギーに利用する。
これは火山国である日本には利用できる熱源が全国の各地にあって、地熱発電に大変適している。
火山国のアイスランドでは、国の発電電力は当の昔に、すべてを地熱発電で賄っている。
それにも拘わらず、日本では今までにホンのわずかしか発電施設ができなかったのは、規制が厳しすぎて、クリアーするための経費が高くつきすぎるので、現状では電力会社が買い取る価格では、採算が合わない為であった。

日本には現在、18か所の地熱発電所があり、年間で31億㌔㍗時の発電量の実績がある。
これは、2007年での太陽光発電(20億㌔㍗時)、風力発電(30億㌔㍗時)の発電量を上回る。
資源エネルギー庁の試算で、この地熱発電が可能な量はすぐにでも3倍以上が見込まれる。
年間で100億㌔㍗時の発電が実現すれば、毎年、1000億円の電力が生み出される産業となる。
技術革新が進めば、この数倍、10倍程度の電力を生み出せる可能性もある。
その時点での恩恵を受ける周辺の産業と雇用の創出効果を見込めれば、火山帯にある地域にとっては大きなエネルギー資源を得て地域振興に役立つ。

ではなぜ今までの余計な規制が、普及を阻害していたのであろうか?
現状の電気事業法では、大型の高温、高圧の蒸気を使う火力発電の設備と同様の規制対象に区分されて、小型の低温、低圧で稼働できる地熱発電所であるにも関わらず、ボイラー、タービンなどの技術の専門家を選任して従事させなければ、事業が許可されない仕組みになっていた。
これらが設備の運営コストを引き上げて、地熱発電の事業を余計に不利な状況においていた。

前にも書いたように、大手の電力会社は、再生可能エネルギーの様な、地域に分散して小規模に発電する事業を余計モノ扱いして、安全性を少しでも緩めることは許されない方向だとして、邪魔をしてきている。
大手の電力会社関連企業に天下りをしている、所管の官庁である経済産業省は、このような構造の中で、規制の緩和を渋って、取り組んでこなかった。
ここにきて、抵抗勢力にばかり加担していては立場が危うくなるとして、経済産業省もやっと方向転換を始めたという状況である。

強化する規制と並行して、緩和すべき規制の構造改革こそが、日本の取り組むべき急務である。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。