庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

構造改革は目指すべき方向が社会の動向に沿っているべき。

2010-02-17 | 経済問題
規制の強化によって企業に技術革新の必要性を迫り、研究投資を活発させる。
その成果を出せる企業が社会に受け入れられて、需要の応えることで一段と高いレベルの商品とサービスが普及していく。
その影響を受けた周辺の企業や働く人の仕事が活発となって、雇用も生まれて良い収入が得られて生活が豊かになる。
これが1970年代を通じての環境規制が強化された時代に進んだ、産業革新と構造改革であった。

1970年の後半から1980年代にかけての石油ショックは、多くの企業に省エネルギーと言う規制をかけられたと同じ効果があって、一段と高いレベルの技術革新を迫って、それを達成してきた。
日本の経済成長と生活の豊かさは、規制の強化や必要性に高い社会的な要求によって、技術革新をしてきた経過をへて、産業の構造改革が進んだ成果である。

では現在の社会的な要求はなんであろうか。
言うまでもなく、化石燃料の需給ひっ迫をもろに受けている産業のエネルギー革新である。
ひとつの方向は、さらに徹底した省エネルギー化への転換であり、もうひとつの手段は、再生可能エネルギーへの転換である。
そして、この方向に規制を強化することが、転換への技術革新と企業活動のレベルアップにつながる。

日本はその方向に転換するチャンスを1990年代の末に逸してきた。
1998年に締結した京都議定書において、温室効果ガスの排出削減を1990年比で8%削減するという、大変に意欲的な目標であった。
しかし、産業界は例によって企業に規制的な政策をかけられることを嫌って、猛烈なロビー活動を展開して、これに抵抗してきた。

自動車排ガス規制のときと違って、本家のアメリカがブッシュ政権に転換して、早々と京都議定書を離脱して削減義務を拒否したために、日本の政府は後ろ盾のない削減目標に消極的になって、有効な政策(規制的に省エネ義務や、再生可能エネルギーの導入の高い導入目標設定)をことごとく、骨抜きにしてしまった。
お陰で企業は一息ついて、今までの延長の対外貿易の競争力強化と言う名目の施策に、重点を置いた活動に戻ってしまった。

しかし、これでは技術革新も加速せず、周辺への新規雇用を生む新産業も起きてこなかった。
対外貿易の増加が、国内の需要不足の経済活動をかろうじて支えてきてが、世界同時不況の影響をもろに受ける経済構造になってしまったことが、2008年に露呈してしまった。
10年前に、脱化石燃料エネルギー社会への転換を、規制強化的に進んでいれば、日本企業の技術力をもってすれば、今は世界の一流レベルに到達して、多くの地域から商品の輸出を要望され、一部は現地進出を成功させていた筈である。

構造改革はこのような方向を目指すべきであった。
小泉内閣の看板倒れであった。(以下、次回)

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