庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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無駄な公共工事の愚策を止められない霞が関の病根。

2010-12-07 | 国創り政治問題
本日のトップニュースには、無駄な公共事業の象徴として、自民党政権の土木工事優先主義、
【諫早湾干拓事業】に対する高栽判決が出された。
有明海の漁業に対する悪影響を認め、今後の5年間を「潮受け堤防」(俗称:ギロチン)を開門して、潮流を自然にもどして、海産物の回復を調査することになる。

現首相の菅直人は、野党時代にこの公共事業の無駄と害悪について、自民党政治を批判する先頭に立っていた。
今度は、国の敗訴を受けて、幕引きを負う役割となったので、ここでふらつくようでは、首相の資格は全くない。

ところで、この事業は今までに2500億円もの税金を投入してきている。
それによって、失われた漁業資源の損失は、いったい、どれほどになるのか、検討して公表して欲しいモノである。
得られた新規の農地は、700haにすぎず、耕作物はジャガイモや玉ねぎなど、他の土地でも大量に栽培できる種類である。
日本全国に広まる、耕作放棄地や休耕田を利用して作れば、代替はいくらでもできる。

いったい、何を得ようとして、この膨大な無駄な公共事業を強引に進めようとしてきたのか、理解に苦しむ。

1989年に着工した事業であるが、当時から日本のコメ余りにより休耕田政策が始まっていた。
農地が不足するから、干拓事業が国としては、ぜひとも必要との理由はなくなっていた。
しかし、現地から程遠い霞が関の役所では、国土交通省(当時は建設省)と張り合って、バブル時代の予算をとり合い、何かと理由を作り上げて大型の公共工事を手掛けたい、「農林省」の官僚の意地があった。

公共工事を地元に持ってきたい、農林族議員と結託した結果が、自然環境を破壊する危険性のある、大型の干拓工事の愚策である。
バブル崩壊後の国庫の悪化と、耕作放棄地の激増により、1997年には工事を止めるチャンスがあった。
潮受け堤防の閉め切り工事、ギロチンの執行(293枚の鋼板が次々に海に落とされた)が行われて、20世紀の愚策が、後世におぞましい映像として残された。

誰にも、愚かな行為と解って来た段階でも、大型公共工事が止められない。
これが日本の活力を削ぎ、経済の停滞、地域の疲弊を増進している原因と同じところにある。
つまり、「過度の中央集権による硬直化」による現代病、日本病と言えるかもしれない。

この病気を治す治療法としては、病気のもとである脳死省、いや「農水省」の解体である。
中央でなければできないこと以外は、すべての権限と予算を地域社会、この場合は、有明湾沿岸の各県に移管することである。
出来れば、九州を一国とした九州州の地域主権に転換する。(以下、次回)

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