脱石油燃料の政策は、バイオ燃料を国産資源活用で、実現するのが目標である。
バイオ燃料のなかでも、「バイオジェット燃料」を最優先で開発することが、日本の消費者の利益にかなうのである。
しかし、日本政府はなかなか方針が定まらずに、この10年間くらいは、迷走したままで、成果を生まない【空白の10年間】であった。
経済産業省は、何も方針を決めることも出来ないで、時間を浪費しただけだ。
バイオ燃料による石油の代替策としては、10年前には自動車用のガソリンの代替燃料になる【植物由来のエタノール】が注目されていた。
しかし、エタノールは、ガソリンに比べて発熱量が8割くらいに低下する上に、吸湿して水分が悪影響を及ぼす。
その様な欠点があるので、混合するにしても5~10%程度を許容するのが限度である。
エコ燃料とした発売されたが、消費者の支持は得られずに、石油業界も商品の扱いには冷淡であったので、普及はほとんど進まない状態だ。
その上に、経済産業省、農水省、環境省が、補助金を出して、国内の植物資源を原料にしたエタノール製造をバラバラに研究開発の支援をしてきた。
しかし、どの研究も「量産コストをガソリン並」にできないで終わっている。
そのために、普及目標量を「ブラジルから輸入するエタノール」で埋め合わせする様な、おかしな政策になってしまった。
石油の輸入に依存しているのを、ブラジルからのエタノール輸入に切り替えているだけで、将来の展望もないままに、漂流してしまった。
まず最優先すべきは、「ジェット燃料」の転換である。
欧州諸国への[航空機の乗り入れ]には、2020年には、「ジェット燃料」を、植物由来のバイオジェット燃料」を、混合する燃料の使用が義務化されている。
この燃料を、日本国内で生産できない場合は、海外産の「バイオジェット燃料」を、大量に輸入しなければならなくなる。
しかも、現在の様な取組では、かなり割高の【燃料費用の負担】が必要になり、輸入に依存する羽目に陥り、貿易赤字の増加になってしまう。
航空会社は、燃料を製造する技術も事業も、見通しもつかないまま、石油企業の動きを傍観するだけで、官庁の動きに依存したままである。
政治主導が今こそ必要で、政府が普及目標を立てて先頭に立つべき段階だ。(続)