バイオ燃料の生産の元になる油脂を、「光合成型藻類の栽培」によって大量生産する場合は、太陽光の日照率が大きく影響することは理解されたでしょう。
つまり、日本で生産して市場に供給するよりも、日照率の良好な外国の地域に工場を建設して大量生産する計画が、事業採算面で有利である。
だが読者の中には、それは「太陽光発電も日照率に影響される」と言われるひとがいて、日本でも事業採算が成り立っているではないか、と言うでしょう。
その場合は、「再生可能電力」発電事業と「バイオ燃料」の生産では、明らかに輸送の面で比較ができないことを、着目しなければならない。
電力生産の場合には、日本の様な島国では、外国から電力を輸入することはできないので、同じ様な気象条件の日本国内での競争になる。
日照率の良い地域と悪い地域の差異は、せいぜい、1.1倍程度しか違わない。
だから、日本国内での電力市場での競争力は、1割程度の差しか生まれないのだ。
ところが、太陽光発電設備の主要な部品である「太陽光パネル」の生産は、中国の様に電力費用が安く、人件費も土地代の安い国で生産している。
完成品を海上輸送してでも、日本製よりも安い「太陽光パネル」を、日本市場に供給可能なので、そのうち、日本工場での生産品を駆逐してしまうだろう。
バイオ燃料の場合には、日照率が有利な地域、例えば、「オーストラリア」の日照率の良い地域に「バイオ燃料工場」を建設すれば、量産コストを低減できる。
完成したバイオ燃料を、「日本に輸送して、日本製よりもは安い価格で供給」することが可能である。
それを承知でも、日本国内工場の建設にまい進した場合には、【外国生産のバイオ燃料】の輸入に関税をかけるしか、守れなくなる。
[TPP交渉]の経緯を見るまでもなく、これから新たな分野の国内産業保護の関税をかけることは期待できないので、自由市場競争になるのは必須だ。
最終的には、外国生まれの「光合成型藻類栽培のバイオ燃料生産」は、輸入品が日本市場で勝ち残るのである。
これは、今回の紹介した「イスラエル企業の新開発藻類バイオ燃料」の生産技術だけに限らない。
その様な理由で「光合成型藻類」は、エネルギー自給率の改善には貢献しない。
化石燃料由来(石油)のエネルギー輸入は減るので、[CO2排出]削減には貢献できるので、それで良いとするならば、日本人がお人好しすぎないか。(続)