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庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

政府の助成金制度は無駄を生む源泉。成果に報酬を与えよ。

2015-09-16 | バイオ燃料・バイオマス

バイオジェット燃料の開発促進に対して、電力の「再生可能電力固定価格買取制度」[FIT]に倣った「賦課金の制度化」を提案している。

その理由とメリットについて、さらに、詳しく説明を書いていきます。

バイオ燃料の研究開発は、2006年頃から政府の課題に取り上げられて、当時は自動車用の代替燃料として、「バイオエタノール」の開発が目標にされていた。

このエタノール燃料を国産の作物から作る目的で、各種の研究課題が提唱されて、政府の補助金を使って開発促進をするコトになっていた。

その中に、お米からエタノールと生産する「イネイネプロジェクト」があった。

 

2007年5月頃から発足した研究プロジェクトは、大学と地域と企業の連携した「産官学民」の連携プロジェクトとして、成果が注目されていた。

政府からもかなりの助成金がつぎ込まれていたが、2015年の実用化を目指していたが、現在までにまともな成果は一切公表されていない。

このプロジェクトでは、日本の稲作を守ることや、余剰米の処理方策やら、遊休耕作地の利用など、目的と手段をごちゃまぜにした計画になっていた。

結局のところ、9年間も研究開発に税金を投入していても、成果はゼロである。

 

何故、この様なテイタラクに終わるのか、分析して行く必要もあるが、政府の助成金をつけると、そのお金を使うことが目的になってしまう様だ。

目的の成果を出す為の手段を、いちいち、お役所に届けて、連携した組織間の意見調整ばかりに時間と労力をかけて、消耗してしまうのである。

これが民間企業であれば、途中のチェックが働き、研究停止の判断がでる。

お役所は一度助成金をつけると、失敗の結果では言いわけができないので、次々と新しい口実と手段を考えだして、プロジェクト活動を継続させてしまう。

そして最後には、何も成果の出ないままに、責任者不在のままに終結させる。

 

政府のお金は、入り口の段階の助成金にすると、成果を出す為の事業性検討がおろそかになって、助成金の審査に合格し易い計画を、作文で作ってしまう。

首尾よく、政府の審査に合格して動き出すと、毎年の政府への報告が最優先になって、目的の成果を出す事業化に勢力をかけることが後回しになるのだ。

この点で、[FIT]制度の様に、実際に再生可能電力が生み出された成果に対して、上乗せの賦課金が支給されるので、実効性が高い仕組みになっている。

現在はバランスの取れた促進策とは言えない弱みはあるが、従来の様に役所が助成金の対象を選定して、無駄に終わる取組ばかりになるのは防止できる。(続)


石油代替のエネルギーの普及拡大のために賦課金制度を。

2015-09-15 | バイオ燃料・バイオマス

再生可能電力の普及促進の目的で、[FIT]制度の導入を法制化し、その財源の費用は、再生可能電力賦課金として、消費者から出してもらっている。

促進効果も表れて国民は制度の有効性については、理解ができている。

同様にして、ジェット燃料の代替になる『再生可能ジェット燃料(バイオ燃料)』の生産を拡大する狙いで、「ジェット燃料賦課金」の制度を創りだすと良い。

飛行機を利用する旅客と航空貨物の料金に「燃料費分の1%」を賦課金として、拠出してもらう制度である。

 

この制度の例として、次の様に賦課金を設定して、使い方を想定してみよう。

仮に日本国内での発着時に給油する「ジェット燃料の価格」を100円/L.とし想定して、年間での給油する総量と400万KLとしておく。

賦課金を「燃料費分の1%」と設定すると、年間で40億円の賦課金の徴収ができるので、この分を『バイオジェット燃料』の促進資金に利用する。

例えば、1リットル当たりの「バイオジェット燃料」に、『40円/L.の買取上乗金』を設定すると、通常のジェット燃料が100円/L.の場合でも、[140円1/L.]で買取ることになる。

この差額の分は、賦課金の徴収資金で賄うので、航空会社の負担は全くない。

 

この制度による効果は、「バイオジェット燃料」の製造事業者が、供給可能な価格が[140円1/L.]であれば、需要に応じて【10万KL】まで可能になる。

もし、供給可能な総量が、10万KL以上になるならば、余剰分は備蓄して次の年の上乗買取りの対象にする。

余剰の備蓄分が積み上がる場合には、次の年の分を『30円/L.の買取上乗金』に変更する。

すると買取の「バイオジェット燃料」は、13.3万KLまで増やすことができる。

逆の場合で、【10万KL分】に応じる事業者が足りない場合は、『50円/L.の買取上乗金』に増額して、事業者の供給意欲をひきだす。

 

この様にして、賦課金の総額の範囲で、「バイオジェット燃料」の供給可能な総量を、事業者の意欲を引き出す様にして、増加させる制度になる。

上記の計算事例では、賦課金の割合は1%上乗せで、総量の占める割合で「バイオジェット燃料」の分は2.5%になる。

賦課金の割合を増やせば、バイオ燃料の普及割合は加速できる制度で、国民の支持と航空機利用者の負担の兼合いで、調整しながら拡大を図れば良い。(続)


再生可能燃料の研究開発の促進策は賦課金制度の導入を。

2015-09-14 | バイオ燃料・バイオマス

電力分野での再生可能エネルギーの促進策は、2011年3月11日の原発大事故によって、国民の意識は完全に転換した。

地下資源の乏しい日本で、安定的に供給が可能な『再生可能エネルギー』には、多くの将来性があると合意ができたからである。

原子力エネルギーの【安全、安定供給、安価の神話】は完全に崩れ去った。

電力に占める再生可能エネルギーの比率を、一気に高める制度として、「固定価格買取り制度」[FIT]制度が導入され、2012年7月から実施された。

 

いまや、この制度によって、民間企業の研究開発が活性化されて、2030年の目標も22~24%にひきあげられた。

さらに、30%までに目標を上げる必要がある、との提言も出されている。

この普及促進策には、財源として電気料金に上乗せする「再生可能電力賦課金」の制度が決められた。

電力の全消費者の負担で、現状では割高な再生可能電力を、事業者のリスクを殆どゼロにできる様に、事業採算性に補助を与える制度である。

この制度は、2000年初頭にも提案されたが、電力会社の猛反対で、導入ができなかった経緯があるが、これが見直されて産まれた成果である。

 

それでは、電力以外のエネルギー源の石油や石炭、天然ガスの代替になる「再生可能燃料」の将来については、どうするべきであろうか。

石油は将来に枯渇の懸念で価格が上昇したままになり、石炭は[CO2排出]削減の必要性から、その対策コストが大幅に上乗せされるであろう。

出来るだけ早期に、市場で受け入れる価格に、「再生可能燃料の量産価格」を引き下げるべく、「国策として合意の制度」を導入すべき段階である。

それには、電力のケースと同じ様に、全部の化石燃料消費者に、『再生可能燃料賦課金』として、一定の割合で料金に上乗せをするのが適切である。

 

例えば、1リットル100円の灯油に対して、1円の賦課金を上乗せする。

同様にガソリン、軽油、ジェット燃料にも、[CO2排出]係数に応じて、賦課金を算出して上乗せする。

ガソリンは0.93円。軽油では1.05円。ジェット燃料では0.97円である。

この燃料代に上乗せして徴収した収入金を、「再生可能燃料の普及促進」のための費用に利用するのである。

具体策は各種あるが、バイオジェット燃料の促進策に利用可能である。(続)


経産省と農水省の確たる方針のないバイオ燃料政策では。

2015-09-13 | バイオ燃料・バイオマス

再生可能エネルギーの重要性は、ますます認識されて、国民のだれもが普及促進には、大賛成の立場である。

しかし再生可能エネルギーといっても、現在は、「電力エネルギー」だけが突出して取り上げられて、社会の話題に上がるばかりである。

太陽光発電が、20年前には一部の篤志家が、自宅の屋根に設置していただけであったが、今では、一般の国民にも理解が進んでいる。

その設備コストは割高で、技術的には未開拓の段階であったから、今よりも、10倍も高い発電コストであったが、技術革新がすすめられた。

 

そして今では、「再生可能電力の固定価格買取り制度」[FIT]の影響もあって、普及が大幅に進んだ影響で、発電コストは目標の2倍程度に下がっている。

もう10年もしたら、[FIT]による助成制度も必要がなくなって、他の電力コストと同等以下になり、経済原則に沿って、着実に普及が広がるであろう。

現段階までの普及に必要な技術開発や、量産効果が生まれる規模への拡大は、電力消費者の料金上乗せにお金によって、支えられてきた。

このお金が助成される制度があったからこそ、30年程度で、独り立ちできるエネルギー技術に育成されたのである。

 

これが、「石油の代替になるバイオ燃料」となると、政府による助成制度は、まったく不備の状態である。

経済産業省の官僚が、長期展望にもとずく技術開発戦略をおろそかにして、欧米の後追いの研究に、補助金を出して失敗を繰り返してきた。

バイオ燃料だから、農水省も所管するとして、それこそ、思いつき的な研究テーマに、申し訳程度の補助金を出しては、無駄使いを繰り返すだけであった。

これは、再生可能エネルギーの将来性について、確たる目標も戦略も練らないママに、欧米の真似をしようとしているからである。

 

再生可能エネルギーで、電力エネルギー分野の技術開発促進策については、各種の補助政策が実施されてきた。

2000年には「新エネルギー特措法」によって、一定割合の「新エネルギー電力」(太陽光、風力、小規模水力)が、電力会社での買取り義務付けが実施された。

これは、電力消費者の料金負担で、再生可能電力の事業者のリスクを減らす目的で法制化されたが、電力会社の抵抗で義務量を低くしたので失敗した。

だが、2000年の初頭に制度化に挑戦した成果が、2012年には実を結んだ。(続)


発想の転換を必要とする藻類培養とバイオ燃料の製造策。

2015-09-11 | バイオ燃料・バイオマス

太陽光エネルギーによる光合成で、「藻類の培養」をして大量のバイオ燃料を製造する計画が進んでいる。

この製造方法では、太陽光の条件により日照率の影響を受けるので、藻類の増殖が進む時間の制約が大きい。

それによって、大型の設備投資した割には生産量が増加しないので、バイオ燃料の量産コストを下げるのに、限界が出てしまう。

アメリカの企業でも、この「光合成による藻類からのバイオ燃料製造」は、不安定であるとして、事業化には向かないと考えはじめている。

 

光合成しないで、エサで増殖する藻類のことを「従属栄養性微細藻類」と呼ぶが、この種類の藻類に「オーランチオキトリウム」がある。

日本ではこの藻類を利用して、バイオ燃料の製造の研究を進めているチームがあり、エサを適切に選定して増殖させれば、良質の油脂が得られる。

例えば、鶏を大量に鶏舎で飼育して、『良質のたんぱく質(玉子)』を生産する様に培養するのである。

「オーランチオキトリウム」は、乾燥重量の50%が油脂であり、増殖させた藻から油脂を絞りだす生産性が良好である。

 

エサとする飼料は、トウモロコシでないことがもちろんだが、陸上の作物を利用するのでは、アメリカの大規模農業に対抗することは難しい。

日本で開発する「オーランチオキトリウム」のエサには、発想を切り替えて「大型海藻」の成分を利用するのが良い。

この様な研究は、すでに地方の大学の有志学者が取組んでいるが、大型海藻に含まれる成分で「オーランチオキトリウム」の増殖に成功している。

この大型海藻は、もちろん、日本の沿岸地域で栽培が可能な種類である。

成分を取り出した海藻の残余は、鶏や豚の飼料にもなるので、一石二鳥である。

 

この様に、日本の国土と環境に適した「藻類からバイオ燃料製造」が提案されているのに、中央の役所や学識者は「光合成する藻類」ばかリに注目している。

この段階で発想を転換して、『海藻の成分をエサにした「従属栄養性微細藻類」の培養によるバイオ燃料製造』の研究開発を、国策とする機会である。

2020年に向けた「バイオジェット燃料」製造の有力な施策として、採りあげるならば、2020年以降の石油代替燃料の開発の主力になるであろう。

もちろん、大型海藻の栽培に力を入れることで、海洋産業の育成にもなる。(続)


太陽光エネルギーで藻類の培養を事業に出来る可能性は。

2015-09-10 | バイオ燃料・バイオマス

バイオ燃料を陸上の作物で作ろうとすると、【食糧用の作物の栽培地を奪う】コトになる、との議論が必ず巻き起こる。

アメリカの様に耕作に不向きな土地が、圧倒的に多い国ならば、この議論は全く不要になる。

ところが、日本の様に国土が限られた場合には、よほどの生産性の良い植物を選定しない限り、土地利用の優先度が低くなり実施できない。

そこで、陸上の作物ができない様な地域で「藻類の培養」をして、バイオ燃料の原料にする研究が進んでいる。

 

ところが、太陽光による光合成で培養する藻類の場合には、「適切な温度管理」と「最適な炭酸ガス濃度の水」が必要になる。

さらに、藻類によっては、他の種類の藻の侵入を防ぐ必要があるので、閉鎖型の水槽内での培養にする必要が出てくる。

閉鎖型の培養装置にすると、設備の費用がどうして高くなるので、24時間の稼働が必要になるが、太陽光の利用では12時間程度しか光合成はできない。

日本の様に日照率が低くて、半分は曇りか雨では、光合成に頼る「藻類の培養」は、生産効率が悪くなるので、バイオ燃料製造用原料には、全く不向きだ。

 

アメリカの様に年間の日照率が有利な国でも、「藻類の培養」は、なかなか事業採算性の見通しがつかない状況である。

その様な状況のなかで、「光合成しない藻類」を「バイオ燃料の原料」にする研究が進んでいる。

例えばアメリカの「Solazyme社」と「Amyris社」は、光合成しないクロレラを増殖させて【油脂】や『炭化水素』を作らせる。

このクロレラは、糖類を餌にして増殖するので、ブラジルの砂糖工場の「廃糖蜜」を利用することで、生産コストを下げる。

 

つまり、藻類の光合成に頼るのではなく、餌になる【サトウキビからの「廃糖蜜」】を利用することで、間接的に太陽光エネルギーを活かしているのだ。

この様に間接的に「バイオ燃料の原料」を作らせる「藻類を選択」するのが、生産効率を上げる手段として有効である。

培養する藻類に餌を与えて増殖させる設備は、24時間のフル稼働ができるので生産効率は大幅に向上する。

日本の研究者は「オーランチオキトリウム」の藻類を選定して研究している。(続)


鳴り物入りの委員会はオリンピックのお祭りの無責任。

2015-09-09 | バイオ燃料・バイオマス

2015年7月7日に第一回会合を開いた『バイオジェット燃料』の【導入までに道筋検討委員会】は、毎年度2回ずつ進捗確認をする、としている。

全体会合のほかに、「燃料製造WG(ワーキンググループ)」での活動をする。

この事務局には、[NEDO]が務めることになって、バイオジェット燃料開発事業者、石油連盟、航空運送事業者などが参加する、ことになっている。

オブザーバーとして、経済産業省、国土交通省がついて、何をするかといえば、「・オリンピックにおける供給可能量の調査」をする、としている。

 

何のことはない、新技術を開発するわけではなく、2020年時点での「買い取ることができる『バイオジェット燃料』の可能な数量」を調査するだけである。

その可能性のある藻類の培養は、どの様な状況にあるかと言えば、実験室段階での培養は、成功していると公表されている。

肝心なのは、小規模でも良いから、量産を前提とした培養システムで、安定的に効率の良い培養ができるか、にかかっている。

前に説明した、【ユーグレナ社のミドルムシ】は、温度維持と炭酸ガス濃度を大幅に上げる必要があるので、アメリカ大陸の適地で量産する計画になった。

 

日本国内では、IHIなど3社が屋外培養プラントの技術開発に取り組んでいるが、量産時における「バイオ燃料コスト」の公表は一切ない。

多分、実験室レベルの段階を量的に拡大する段階に、大きな難問の壁が立ちふさがっている様である。

その様な技術面の困難を乗り越えるのが、大変な時間と労力、資金が必要になるのだが、経済産業省や国土交通省は、補助金を出して待っているだけだ。

「大量培養技術の確立」との計画では、2013年から始められた開発が、2015年度末には、完成することになっている。

 

微細藻類の光合成による培養での「バイオ燃料」の製造は、出来ることは確実であるが、もっとも重要な量産時の製造コストが、公表されないのは問題だ。

「オリンピック開催時の2020年」には、『供給可能量』を調査するのではなく、【量産時の製造コスト】を明確にしなければならないのだ。

ジェット旅客機が消費する大量の燃料の量産コストが、現状のジェット燃料に近ければ問題にはならないのだが、そう思惑どうりにはいかないであろう。

もしも、燃料費用が2倍~3倍になると、差額の負担はいったい、だれが負うことになるのか。また、ズサンなオリンピック費用にかぶせる気なのか。


世界のバイオ燃料の研究は大量生産時のコスト削減が課題。

2015-09-05 | バイオ燃料・バイオマス

バイオ燃料の製造には、原料となる植物の大量培養が必須であり、世界中で「藻類の培養」が研究されている。

必要となる資源は、「太陽光」と「水」と「炭酸ガス」で、光合成が行われる。

アメリカでは、広大な国土があるので、太陽光は、十分すぎるほどにある。

周辺に「水」と「炭酸ガス」を供給する設備、つまり、火力発電所があれば、大量の「藻類の培養」が可能になる。

現段階での研究では、商業化ができる段階につき進んでいる状況である。

 

日本の研究組織でも、このアメリカの研究にならって、「藻類の選別」を行っているが、培養の効率や設備の面で、大きく遅れている状況である。

何しろ、日本では土地が限られているので、【土地代が高い】不利な環境にある。

さらに、アメリカの【日照率が良い地域に比べて、日本では半分】程度になる。

梅雨時とか、雨の多い日が続く季節には、藻の培養効率が大きく落ちる。

その上に不利なのは、「炭酸ガス」を供給してくれる、火力発電所が近くにない。

【遠隔地にある火力発電所】で、「炭酸ガス」を分離して輸送するのでは、コストがかかってしまう。

 

この様な状況にあるので、日本で「藻類からのバイオ燃料」の製造には、上記の【三重苦】がのしかかって、生産コストが圧倒的に不利になる。

それに加えて、日本政府のバイオ燃料への取り組みは、まったく、おざなりの姿勢であり、アメリカやヨーロッパの研究成果を様子見しているだけである。

アメリカで事業が成立したら、それを日本に技術輸入すれば、無駄に研究開発の費用をかける必要が無い、という魂胆だ。

高度経済成長時代に、アメリカの後追いをしながら、その中で、日本的な特徴を入れて独自性を出せば、事業採算性は成り立つ、との甘い想定である。

 

これでは、欧米から遅れるばかりで、【日本は取り残される】と言い出した民間企業側では、研究組合を作って開発を促進しようとし始めた。

とにかく、2020年の東京オリンピックには、航空機用にバイオ燃料を使える様にしようと言うのだ。

どのくらいの数量を必要としているのか不明だが、目標の製造コストよりも、「大幅に高い燃料」をなってしまうのは目に見えている。

日本人の特徴は、お祭りがあると、多少の物入りが多くても、とにかく、ご祝儀のつもりでおカネを出す。

こんなことで、本当に良い技術ができるのか。(続)


藻類の培養事業は大気中では問題解決が困難。

2015-09-04 | バイオ燃料・バイオマス

石油の代替燃料となる「藻類の油生産」は、研究開始から障害に直面している。

藻類は、大気中での培養が試みられているが、目的の種類の藻だけを大量に増殖させるのは、想定しているよりも問題が大きいのだ。

大量に増殖させる段階で、他の種類の藻類も混入してくるので、狙いの藻類の培養が止まってしまうのである。

この障害を取り除くことができる手法が、各民間企業で研究されている。

 

ベンチャー企業の【ユーグレナ社】は、ミドリムシの培養に成功して、食用の栄養素として宣伝販売をしている。

しかし、狙いの「バイオ燃料生産」には、なかなか成功する見通しがたっていないのは、この他の藻類の混入防止が難しいからである。

現段階で公表されている防止策は、水中に溶け込む[CO2]の濃度を、極端に高くする方法である。

通常での濃度は、0.4%程度のある状態では、他の藻類の侵入が起きて増殖が進んでしまうので、ミドリムシの培養は止まってしまう。

そこで、[CO2]の濃度を20~30%に上げると、ミドリムシだけ生き残る。

 

この方法で、ミドリムシの大量生産が可能になっている、と報告されているが、[CO2]濃度を上げるためには、水中に[CO2ガス]を大量に溶け込ませる。

このための装置と原料の[CO2]を、運んでくる経費が大幅に増える。

ミドリムシの大量生産には、太陽光と水があれば良い、とされているが、温度の管理や[CO2]濃度を高くする操作の追加で必要なのある。

現段階では、この経費の増加のために、石油の代替に出来る目標コストを、大幅に超えてしまっている。

それで、食品の添加物などの、高く買われる材料の原料として、利用が進みだしているが、将来の『バイオ燃料の原料』になる見込みは難しい。

 

他のバイオ燃料の原料として、試験的に培養研究が進んでいる藻類は多種類だが、「大気開放式の培養」と「密閉された培養水槽」の中を循環させる方式だ。

このどちらにも、[CO2]の濃度を適正に管理する設備が追加で必須である。

その原料になる[CO2ガス]は、どの様にして手に入れるかといえば、現在は石油の精製段階で得られるガスを利用している。

将来的には、電力会社の火力発電で大量に出る[CO2]を分離して、送りこんで利用するのが適切な方策だが、電力企業は協力をしようともしない。(続)


今になっても大手の電力企業は炭酸ガスの削減に逃げ姿勢。

2015-09-03 | バイオ燃料・バイオマス

日本の電力企業は、[CO2ガス]の排出削減には、熱心に取り組む意思が全く薄い様である。

今までにも火力発電によって、大量の[CO2ガス]を出し続けてきたが、分離して吸収したり、隔離する技術への取り組みは、ほとんど研究してこなかった。

原子力発電さえ、大幅に拡大すれば、削減義務を果たせると思いこんでいた。

しかし、福島の原発大事故ですべての原発が停止して、2013年以降は火力発電による[CO2ガス]は、許容されるレベルをはるかに超えている。

 

それ以前の2011年3月まで、[CO2ガス]の削減に責任を持って取り組んできたかと言えば、そうではない。

前にも書いた様に、自社での削減ではなく、海外の[CO2ガス]の削減の成果を、電力消費者のおカネを使って、買取って【削減の成果】としていた。

つまり、【原発依存】以外では、削減する努力を払う意識がなかったのである。

そんな【逃げの姿勢が体質的に膠着】してしまったので、原発大事故以後も、ひたすらに【原発再稼働】を急ぐだけで、国民の強い要求は軽んじている。

 

それだけでなく、[CO2ガス]を急増させる【石炭火力発電所の大増設】を、政府に認めさせようとして、世界に対して詭弁を広めてしまった。

最新技術の石炭火力発電所は、[CO2ガス]の削減につながる、と言う詭弁だ。

最新技術と言っても、ただ、エネルギーの利用効率を最良にするだけで、[CO2ガス]を分離して処理する技術ではない。

この分離して貯留する技術は、『CCS』と呼ばれるシステムで、燃焼で排出される[CO2ガス]を分離してから、地下の滞留層に押しこむ仕組みである。

しかし、日本の国土には、安定的に地下貯留出来る地層など見当たらない。

 

この様に対策の研究に取り組む姿勢を採っているが、先行きは全く見えない。

また、藻類の培養などの培養池の水中に吸収させて、藻類の成長源にする方策が研究されているが、電力会社はまったく関与の姿勢はない。

石炭火力発電では、石炭に木質系の燃料と混ぜて燃焼させて、[CO2ガス]の排出量を減少させる技術があり、一部での実験的な混焼は実施している。

しかし、わずかに3%を混焼させるくらいでは、焼け石に水でしかない。

将来は、30%~50%程度を、木質系に燃料と混ぜる方策が研究されているが、電力会社は様子を見ているだけで、自分の責任ではやろうとしない。

原発の再稼働以外は、他社が研究開発を進めてくれるのを待つだけ・・・。(続)


石油代替のバイオ燃料の研究には冷淡な石油・電力業界。 

2015-09-02 | バイオ燃料・バイオマス

日本で石油代替となる「バイオ燃料」が必要になることは、自明のことである。

しかし、バイオ燃料を作る元になる作物は、どうするのかと言えば、日本の政府は迷走を繰り返すばかりで、将来の国策は一向に見えない。

アメリカは、「コーンエタノール」を事業にした次は、広大な大陸の国土を利用して、燃料用作物からの「セルロースからバイオ燃料をつくる」研究に、多くの国費を充ててきた。

さらに、水槽や培養池で藻類の培養を大規模におこない、大量の油分を生産する仕組みを研究して、事業化の一歩手前までに進んでいる。

 

ところが、日本の現状では、お米からエタノールと作る研究に国費を使ったりしたが、全く事業化に目途はたたなかった。

廃棄木質材のセルロース分を糖化してエタノールを作る方法の研究にも、国費を投入したが、全く実用化にはいたらない。

アメリカの後追いの研究ばかりに、国費を投入する愚策を繰り返して、迷走しているだけであった。

民間企業の視点では、「藻類の選定」を適切にすれば、陸上の作物よりも、圧倒的に藻類の方が、効率良く燃料を得られるとして、研究に取り組んでいる。

 

その一部が、朝日新聞の夕刊(8月31日)に掲載されたが、主な取組を紹介する。

鹿児島市にIHI(本社・東京)が1500㎡の培養池を作り、屋外で育てる方法で培養の実験をしている。

愛知県のデンソー(自動車部品大手)は、増殖が速い種の藻類を培養実験を続けている。

福島県の南相馬市では、筑波大学などが、「土着藻類」の培養研究を進めている。

沖縄県石垣島では、ミドリムシ《ユーグレナ》の培養で事業化を目指して、改良研究に邁進している。

 

いずれも、太陽光と水があれば、培養出来るが、大きな問題は、培養に必要な養分と【炭酸ガス[CO2]】が必要になることだ。

これは、培養の速度が速くなるほど、水中に溶け込んでいる【炭酸ガス[CO2]】が藻に吸収されるので、不足気味になる。

しかし、自然界にある空気からでは、とても足りなくなるので、近隣の火力発電所から出る【炭酸ガス[CO2]】を分離して、水中に溶け込む様にする設備が必要になる。

しか、電力会社は、それに協力する気配もない様だ。(続)


温室効果ガスの排出し放題で国際的な信用を失う日本。

2014-09-17 | バイオ燃料・バイオマス

安倍政権は国際的な公約を果たそうという姿勢がない様に見える。

地球環境問題では、日本は『京都議定書の成立』に貢献して、2012年までの「温室効果ガスの削減義務」を忠実に果たすべく、民間の努力が実行された。

この削減義務の期間内では、国際的な削減活動では日本は優秀な実績であった。

ところが、2013年以降は国際交渉の場からは逃げの姿勢に終始して、ついには、【削減義務を負わない状態】に後退して、日本の姿勢を批判されている。

2012年までは民主党政権であったが、自民党の安倍政権になってからの、「温室効果ガスの削減」に対する取組は、まったくの落第点であった。

 

民主党の「温室効果ガスの削減目標」は、原子力発電の増設を前提とした無謀な計画であったが、少なくとも世界の信任を得る姿勢であった。

電力エネルギーだけでなく、『再生可能エネルギーへの取組み路線』を打ち出し、この分野の新技術の開発促進によって、次世代の新産業の育てる熱意があった。

能力不足による計画倒れに終わった民主党政権であったが、それでも、民間企業の研究開発意欲を刺激して、将来への夢を持たせてくれた。

しかし、安倍政権になってからは、原子力へのしがらみに縛られた中途半端な「再生可能エネルギー産業化」の姿勢では、民間企業も動きを封じられた。

 

「温室効果ガスの削減」に大きく貢献する筈の、『バイオ燃料実用化』の方向は、2003年の自民党政権時代から、余計者扱いを受けてきた。

『再生可能エネルギー電力』の普及促進策も、自民党歴代政権では、電力業界の意向を受けて、余計者扱いであった。

それが、3・11の原発大事故の影響で一気に、2011年8月には「再生可能電力の固定価格買取り制度」[FIT]が、全会一致で成立した。

法律の施行は2012年7月からであったが、それ以来、再生可能電力事業の「大フィーバー」が巻き起こり、民間企業の研究開発は、猛烈な競争に突入した。

 

しかし、電力事業以外の化石燃料使用の領域では、旧態然とした「重油、軽油、ガソリン、灯油」に依存する社会のままである。

さらに「温室効果ガス排出係数」の高い、石炭火力発電を促進する始末で、日本政府の「気候変動対策」に取り組む信用度は、国際的には失墜している。

これでは、もっと重要な【国の財政再建問題】に対する姿勢も、国際的な信用を失うのを加速することになる。

財政再建目標を先送りして、国債発行依存体質のママ放漫財政に浸る日本。(続)


政府は石油代替燃料の普及を図る意思が全くない。

2014-09-16 | バイオ燃料・バイオマス

円安への誘導によって、国民の多くが燃料費の増加の悪影響を受けているが、安倍政権はその痛みを全く感じていない様だ。

自分でガソリン代を払ったこともないし、軽油を消費するトラックや漁船にも縁のない永田町で過ごす政治家には、各地の国民の痛みはわからない。

石油が枯渇性の資源であり、新興国の台頭によって石油の需要が大幅に増加することは、判っている筈である。

何もしなければ、世界中で石油の消費増大で、価格がウナギ登りに上昇し、経済を圧迫してコスト高を招き、国民生活は苦しくなる。

 

中学生でも判ることを知らんふりして、円安に誘導するなどは論外の悪政だ。

アメリカ政府は、石油輸入に依存する国の体質が弱みとなる、と判断して、積極的バイオエタノールの生産増大政策を採用してきた。

トウモロコシ農家への補助政策になると批判されたが、お構いなしに国策として推進し、昨年には目標の普及量を達成した。

そこでアメリカ政府は補助政策を中止して、政府の関与をへらして、あとは自由市場の進展に任せる状況で、この政策によりガソリン価格は抑えられた。

 

その一方で、天然ガスの増産技術の成果もあって、石油の輸入を大幅に減らすことが出来て、アメリカの対外的な弱みをなくすことに成功した。

一方の日本政府は、2000年代の初頭から、「バイオ燃料の普及」を政策目標に掲げてきたが、具体的な普及促進政策は皆無の状態である。

未だに、バイオエタノールの製品には、大きな税金が課せられて、事業者にとっては、新事業としての挑戦意欲を失わせる政策である。

軽油の代替になる「バイオディーゼル燃料」についても、軽油取引税が課せられるので、よほどの製造コストダウンに成功しなければ事業化は無理だ。

 

従来の石油を輸入してガソリンや軽油に加工して、販売する「石油業界の既得権益」を守ることばかりに逃げ込んでいたのが日本である。

アメリカやEU先進国の「バイオ燃料普及」からは、大幅に遅れてしまった。

ブラジルの様な大陸国家では、膨大な無耕作地をサトウキビ栽培地に開拓して、サトウキビエタノールを地道に国産技術で育成してきた。

今では国内で消費するガソリン自動車の燃料の半分以上をエタノールで賄う。

さらに、このエタノールの増産製品は、海外に輸出される「輸出産業」に発展してブラジル経済に大きく貢献している。無策の日本とは大きな差が出ている。


経済の発展は新事業を開拓するのが入り口である。

2014-09-14 | バイオ燃料・バイオマス

日本のエネルギー戦略で、「石油の代替燃料を開発」して、可能な限り石油の輸入依存を減らして行く事が、『国創りの基本的な方策』である。

しかし、実際の事業化を成功させるには、実績のない段階でもリスクを採って、挑戦しなければ実を結ぶことはない。

『ジャトロファ栽培』と「バイオディーゼル原料油の生産」は、日本にとって有益な事業であるが、誰もリスクを引き受けるところがない。

日本の経済停滞は、この新事業に対するリスクを逃げてばかりいるからである。

 

そこで、新事業を開拓する上で「未知のリスク」に対して、どうするべきかを、この「ジャトロファ事業化」を事例として深めてみよう。

まず、大きな検討課題で見ると、海外での生産に対しては、「カントリーリスク」がつきものである。

この場合は、アフリカタンザニアでの事業化であるために、政情不安の懸念があるが、タンザニアは政情が安定して人口4500万人に国民は穏やかである。

農業中心であるが生産性が低いために、貧困層が多く新規の仕事は歓迎される。

面積が日本の2.5倍の国土は、亜熱帯性気候で比較的【ジャトロファ栽培】に適している。

 

それでも海外での生産には、これらのリスクは想定を超える変化が起きるので、金融機関は資金を投じることをためらう。

この対策としては、政情不安や異常気候の遭遇時の損失に対して、政府がバックアップする「債務保証などの支援策」を講じるのが良い。

こうすれば、資金力のない「ベンチャー企業」のレベルでも、果敢に海外での新事業展開を、積極的に実行する資金を集めることが可能になる。

政府のエネルギー戦略の中に、海外での安定した『石油代替燃料の供給先の開拓』を掲げていれば、政府が後ろ盾になる大義名分が明確になる。

 

それでも、金融機関は事業の安定性に懸念を持って、リスクを背負うことを避ける傾向が強い。

生産された「バイオディーゼル燃料の原料油」が、安定した価格で買い取られるかに、疑念を持っているので、貸付資金には担保を要求する。

これに対しては、政府が確実に『バイオディーゼル燃料の普及促進』を図る法制度を成立させる姿勢が必要である。

再生可能電力の促進策に「固定価格買取制度」が大きな効果を発揮した様に。(続)


陸上の作物でエネルギー利用の可能性が高いジャトロファ。

2014-09-13 | バイオ燃料・バイオマス

バイオ燃料の候補である【ジャトロファ】とは、どの様な作物であるのか、日本の読者には判らないであろうから、少し説明を書いてみよう。

自然界に自生する植物で、その種子には油成分が30%程度含まれるので、古くからランプやせっけんの原料に使われてきた。

日本名を「南洋油桐」と呼び、亜熱帯気候でやせた土地でも生育できる。

成長が早くて3年~5年で成木になって実をつけ、樹木の寿命は30年~50年と言われている。

 

タイやマレーシアでも生育出来るが、土地利用が進んでいない「アフリカのタンザニア」の農地が開拓されていない荒地を、利用する事業が採択された。

収入源の作物が見つけられずに貧困に晒されている農民たちに、このジャトロファの栽培方法を教えて、その生産物のジャトロファの実を買い取る。

この収穫した実を近隣の搾油工場に運搬して、バイオヂィーゼルの原料油を生産する事業である。

収穫物の種子は、「年間で1~5トン/ヘクタール」栽培出来るとされているので、初めの「挿木や播種」してから、成木になる3年~5年の間の生活を保障出来れば、農民たちの安定した収入が30年以上も保障されるのである。

 

ところが、この最初の3~5年間の農民の生活を支えて、現地に搾油工場を建設する資金が、日本政府と金融機関では、お金が出せないと言い出している。

それならば、小規模の実験的な事業の計画にして、着実な実績を積み上げることで、将来は大規模なバイオディーゼル燃料の調達ルートに育成する。

しかし、日本の石油企業関係者は、自分からの資金を投入してでも、次世代の石油代替燃料を開発しようという熱意がない。

欧米の動きを調査しているだけで、成功した実例が出来てから、【モノマネ、後追い作戦】によって、失敗のリスクをなくそうという姿勢である。

 

日本の停滞を打破して将来の豊かさへの道を開くには、この様なエネルギーの将来戦略を描いて、リスクのある事業でも挑戦をしなければならない。

政府は成長戦略と称して、過去の実績のあった事業にばかり助成金をだす。

成熟した大企業は、未知の分野でリスクがある新事業には手を出さない経営だ。

これを打破しようとして、挑戦を挑む「ベンチャー起業」には、資金が乏しくて実績を上げる事業が進まない。

まずは小規模で良いから、資金を提供する支援者を開拓することが始まりだ。