先週の火曜日の午後10時前に、47歳男性が右下腹部痛で救急外来を受診した。当直は腎臓内科の若い先生だった。
午後6時ごろから右下腹部痛が出現していた。腹部は平坦・軟で右下腹部に軽度の圧痛がある。CVA叩打痛はなかった。
腹部CTで右水腎症と上部尿管の結石を認めて、診断は容易に付いていた。2019年に虫垂切除術を受けた既往があり、鑑別には役立つ。
ジクロフェナク座薬50mgを使用して、疼痛は軽減していた。当院の泌尿器科は非常勤医が外来を行っているだけで、入院はとっていない。
泌尿器科クリニック宛の「径20mmで自然排石し難いかもしれませんが」と記載した診療情報提供書を持たせていた。17mmX7mmくらいの結石だった。地域の基幹病院ではESWLを行っているので、経過をみて自然排石しない時は紹介になるのだろう。
尿管結石の排石促進に使用するとすれば、α1遮断薬かCa拮抗薬が弱く推奨されているが、保険適応はない。
昔は疼痛時のジクロフェナク座薬に加えて、排石促進にウロカルン(ウラジロガシエキス)やコスパノンを処方していたこともあるが、現在では処方していない。(懐かしい薬名ではある)
尿管結石の疼痛に対する第一選択薬はNSAIDsで、これは間違いない。
尿管結石に関する治療方針のアルゴリズム
ESWL:extracorporeal shock wave lithotripsy(体外衝撃波結石破砕術)、TUL:transurethral ureterolithotripsy(経尿道的尿管結石破砕術)
この患者さんは2019年に当院外科(当時)で虫垂切除術を受けている。最初は急性虫垂炎としてクリニックから紹介された。緊急で手術するほどではなく、抗菌薬投与で保存的に軽快した。
1か月後に同様の症状で入院したが、腹部所見に乏しい割に40℃の高熱が出て、虫垂炎の症状ではないのでは判断されて、また保存的に治療して軽快した。
待機的手術となり、2か月後に(腹腔鏡的)虫垂切除術を受けた、という経緯だった。
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