木曜日に当直だった外科医は、金曜日の午前中も救急当番に当たっていた。レビー小体型認知症(らしい)で脳神経クリニックに通院している83歳女性が動けなくなって救急搬入された。発熱もあり、傾眠状態だった。
発熱外来扱いになるので、新型コロナの検査(抗原定性)で陰性確認した後に、通常の画像検査・血液尿検査が行われた。白血球8900・CRP0.5と炎症急性期の所見だった。
Hb15.6g/dlと血液濃縮があり、BUN70.3・血清クレアチニン2.90と腎前性腎不全を呈していた。血清ナトリウム166と高ナトリウム血症もあった。
CK 7083・AST 236・LDH 751と筋原性酵素の上昇を認めた。心電図で虚血性変化はなかった(洞性頻脈のみ)。Dダイマー28.7と凝固異常を呈している。
頭部CTでは脳委縮が目立った。明らかな脳血管障害はない。肺炎、尿路感染症は否定的で、左股関節部に褥瘡があり、同部が感染巣を呈しているようだ。
リスペリドンを内服している影響も考えたようだが、筋肉の圧挫が疑われた。長期間同じ姿勢でいたのだろうか。
認知症・介護不足(?)、褥瘡感染・筋挫滅で多臓器不全に向かっている病状と判断される。高次医療機関に紹介するのは、褥瘡がらみの悪化ということで躊躇していた。自分で診る気になっていたようだ。
地域の基幹病院救急科に訊いてみませんが、勧めてみた(発熱があるので相談されていた)。当直明けで午後は帰る先生が診るよりは、しっかり治療してもらえる。
家族と相談してみるといっていたが、先方の病院で受け入れ可能ということで、救急搬送となった。急性期を診てもらえれば、ある程度病状が落ち着いたところで引き取らせていただく。
邪道かもしれませんが・・・
培養に応じてアミカシンかクリンダマイシンが多いです