なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

葬儀社の案内看板

2023年04月12日 | Weblog

 病院に来る時に車で通る国道に、葬儀社の案内看板が出るところがある。外来に通院している患者さんの名前があった。

 糖尿病・高血圧症で通院している84歳男性だった。アルツハイマー型認知症で脳神経内科の外来に、前立腺肥大症で泌尿器科外来にも通院している。

 5年前に血清PSA軽度上昇と前立腺MRIで前立腺癌が疑われた。泌尿器科医(非常勤)が地域の基幹病院泌尿器科に前立腺生検目的で紹介したが、高齢(当時79歳)と認知症のため生検はしないことになっていた。

 

 1月末に労作時の息切れを訴えて外来を受診した。いつもは妻だけが診察室に入って来るが、その日は娘さんも入ってきた(ふだんから車で送り迎えをしていたのだろう)。

 発熱はなかった。酸素飽和度が92%(室内気)と低下していて、両下肢の浮腫もある。胸部X線で両側胸水貯留があり、心電図ではそれまでになかった心房細動を呈していた(以前は洞調律)。

 胸部CTで確認すると、両側胸水貯留があるが、溜まり方が少し不規則で胸膜炎かもしれない。心嚢液貯留も少しある。胸水に接して無気肺になっていて、肺野に淡い陰影も散在している。CRPは2.0と出来上がった肺炎としては低かった。(BNP177)

 肺炎・心不全で、呼吸器内科なのか(肺炎・胸膜炎?)循環器内科なのか(心不全+肺炎併発)迷ったが、心房細動が新たに出現したことからも心不全を優先して考えた。

 認知症もあるし、当院入院で治療するしかないと思ったが、地域の基幹病院に相談してみることにした。循環器内科に連絡すると、若い先生が出て受けてくれた。急性期の治療が終わったらすぐに引き取ります、と伝えた。

 

 カルテを確認すると、搬送後の2月に基幹病院入院中のため脳神経内科の外来予約をキャンセルの記載があり、3月には療養型病床のある病院に入院中のため、内科と泌尿器科の外来予約をキャンセルの記載があった。

 ということは、基幹病院での治療で軽快→療養型病床のある病院に転院→入院中に亡くなった、という経緯なのだろう。急性期の治療が終われば普通は当院に転院依頼が来て、すぐに転院してもらっている。家族が当院への転院を希望しなかったのだろうか。

 基幹病院からの返事が来ていないので詳細不明だが、経緯を問い合わせるのも躊躇われる。

 

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