なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

いつものお婆さんがいない

2023年07月10日 | Weblog

 先週金曜日の午後は救急当番をしていた。市内の救急隊から自宅で倒れている91歳女性の搬入依頼がきた。

 その女性は一人暮らしだった。ふだんは家から出て、朝夕の登下校する小学生に見送っていた。簡単な挨拶をしたり、手を振ったりしていたようだ。

 その日の朝はいつも通りだったが、夕方にはいなかった。不審に思った小学生が付近の大人に訴えた。近くの交番に連絡がいって、警察官がきた。呼びかけても返事がなかった。

 鍵がかかっていたので、窓ガラスを割って室内に入ると、居間でその女性が倒れていた。呼びかけると小声で返事はする。(かなりの難聴がある)その日は市内の気温は35℃あり、室内は相当暑かったそうだ。

 救急隊は右下肢の痛みのは気づいていたが、どちらかというと熱中症のような報告だった。右下肢をちょっとだけ上げるように伝えた。足の付け根をかなり痛がりますという。大腿骨近位部骨折があるようだ。

 午後4時過ぎだったので、細かな報告はなしにして、整形外科医が帰る前に急いで来てもらうことにした。バイタルは問題なく、会話も可能だったので、すぐにX線撮影を行った。

 右大腿骨転子部骨折があり、整形外科医に報告した。それから点滴・採血をした。本人に訊くと4日前に転んだというので、転倒の原因があるかも検査した。

 頭部CTは脳委縮のみで脳血管障害はなかった。胸腹部CT(大腿骨まで入れて)も撮影したが、肺炎もなく、骨折以外の異常はなかった。

 血液検査では筋原性酵素の上昇と脱水傾向はあったが、補液だけで改善しそうだった。整形外科で入院となった。

 

 現在整形外科の手術を再開する準備をしているが、まだ予定は経たない。今回も月曜日になってから地域の基幹病院整形外科に連絡して、手術日直前に転送ということになった。

 それにしても、小学生が気づかなかったら、あるいは気づいてもそのままにしていたら(大人に報告しなかったら)、熱中症で危なかった。

 

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