なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

テニスの最中に背部痛

2015年06月15日 | Weblog

 今日は内科再来を診ていた。高血圧症・糖尿病(コントロール良好)で通院している73歳男性が、実は先々月に妻(72歳)が亡くなってという話をした。まだ気持ちが落ち込んで元気が出ないという。この方は夫婦でテニスをされていた。先月の金曜日の午前中にテニスをしていて、奥さんが急に背部痛を訴えた。相当痛がっているので、(奥さんの)かかりつけのクリニックを受診した。ご本人たちも打ち方が悪かったのだろうという解釈だった。そこのクリニックでもテニスの最中にという経過から筋肉痛でしょうということになった。痛み止めを処方されて帰宅した。帰宅後に少し軽快したそうだ。

 次の日の午前3時ごろ、急に背部痛がひどくなったと訴えて、その後意識がなくなった。救急要請すると、救急隊はすぐに心肺蘇生術を開始したというので、心肺停止に陥っていたのだろう。当院に救急搬送されて、心肺蘇生術(気管挿管・エピネフリン投与)が行われたが、結局反応はなく、死亡確認に至った。その日の当直は外部の病院からの応援医師だった。Autopsy imagingとして胸腹部CTが行われて、胸腔内出血(心嚢内にも)が映し出された。急性大動脈解離の破裂と判断された。

 結果がわかっていれば、テニスで筋肉痛がもし起こったとしても安静を保ってからも同程度で継続するのはおかしい。圧痛はなかったはずだ。テニスの最中にということがなければ、突然発症の背部痛として精査されたのだろうが。最初に当院を受診していれば、診断できたと思いたいが、心臓センターのある病院へ搬送したとして助かっただろうか。

 そのクリニックの先生とは、医師会の講演会などでたまにお会いするが、お話しておいた方がいいのだろうか。

 

 

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