なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心房細動・心不全

2023年10月07日 | 循環器疾患

 9月28日(木)に皮膚科の先生から、前夜の当直の時に右下肢の腫脹した89歳男性を入院させたので、時間のある時に診てほしいといわれた。ゼーゼーして酸素吸入もしているという。

 言葉通りだと、深部静脈血栓症から肺塞栓血栓症を来した可能性が考えられた。ただ喘鳴は出るだろうか。

 もともと心房細動があり、心原性脳塞栓症(後遺症)で当院神経内科の外来に通院していた。担当医が春に退職したので、現在は紹介された市内の内科クリニックに通院している。

 心房細動としてDOAC(エドキサバン=リクシアナ)が処方されていた。深部静脈血栓症は起こりがたい。

 病室に行ってみると、かなり肥満した患者さんだった。一人暮らしで、自力で車椅子に移乗して生活しているらしい。両下腿は黒褐色に変色して皮膚は肥厚している。うっ滞性皮膚炎のようだ。

 皮膚科外来に通院して、保湿剤とステロイド剤の混合した軟膏と白癬症の軟膏が処方されていた。皮膚科医としてはおなじみの患者さんなのだった。

 右下肢が左下肢に比べて腫脹しているが、熱感があり、皮膚表面に膿疱が散在している。皮膚軟部組織感染症(蜂窩織炎、一部膿瘍化)による症状のようで、皮膚科の範疇だった。

 聴診すると両側に喘鳴が聴取された。酸素3L/分が開始されていて、飽和度は98%と保たれている。気管支喘息の既往はない。胸部X線は心拡大・肺うっ血があり、心臓喘息としての喘鳴のようだ。要するに、心房細動・心不全(の悪化)だった。

 健側である左下肢にも浮腫がある。全身的にむくんでいて、点滴は困難だった。

 

 皮膚科医に声をかけられたのがお昼で、その日は午後からICD講習会で出かける予定だった。「右下肢は先生の分野なので、抗菌薬をお願いします、心房細動・心不全は(処方されていない)利尿薬で治療を開始します」、と伝えた。

 アゾセミド(ダイアート)30mgをすぐに内服してもらうことにして、夕方になっても変わらない時は別の内科医に相談してもらうことにした。

 結果は、アゾセミド内服後に尿が多量に出て、翌日までに3000mlが排出されて、喘鳴は消失していた。その後数日間尿量2000ml/日が続いて、その後は1000ml/日に落ち着いた。

 降圧薬としてARB・ACE阻害薬・Ca拮抗薬が処方されていたので、少しずつ調整して今どきのFantastic 4に変更していくことにした。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コロナワクチン7回目 | トップ | S状結腸穿孔 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

循環器疾患」カテゴリの最新記事