なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

繰り返す発熱

2018年05月26日 | Weblog

 先週初めに発熱と肝機能障害で入院した45歳男性はまだ入院している。AST・ALTが400台だったが、しだいに低下していた。炎症反応は白血球数が正常域で、CRPが軽度上昇もしだいに軽減している。入院時の高熱は3日続いて、その後の微熱を経て平熱になっていた。肝炎の検査はウイルス性・自己免疫関連いずれも当てはまらない。、画像検査でも肝胆道系に異常がない。何等かのウイルス性として治れば確診できなくてもいいかと思っていた。

 腹部は平坦・軟で圧痛が上腹部に軽度あり、嘔気があって食べられませんと言うので、数日点滴をしていた。上部消化管内視鏡検査で異常がないと伝えると、安心して食べ始めた。心因性の症状を訴えがちな雰囲気がある方ではあった。

 木曜日の夕方から夜間にかけて、また高熱があった。解熱薬の処方があるので、病棟からは連絡が来なかった。金曜日は朝に微熱程度だったが、午後には39℃の高熱が出た。熱の割に普通に食事をとっていた。腹痛や関節痛はなく、身体的には異常はない。

 何でも5~6年前から年に数回3~4週間発熱が続くていたそうだ。発熱以外の症状は鼻汁・咳なので、かぜと思って受診しないで経過をみているうちに治るそうだ。通院しているのは糖尿病外来なので、その症状は伝えていないそうだ。入院後の経過をみると、高熱の日数は短くて、微熱を含めると長いということか。

 経過中に下腹部(ちょうどパンツの範囲からちょっと上まで)皮疹が出たので、皮膚科医に診てもらったが、非特異的で何ともいえないという。痒みも痛みもないので経過観察として、しだいに退色はしてきた。

 血清フェリチンを検査したり(正常域だった)、こちらの対応も迷走してきた。とりあえず、型通りに血液培養2セットを提出して(菌血症ではないと思う)、心エコーも行った(異常なし)。最初の肝機能障害を除けば、検査値は軽度の異常でしだいに軽減しているのである程度安心はしてはいるが、何とも気持ちが悪い。

 患者さんは独身で、お見舞いに来ている高齢の小柄な母親から大丈夫でしょうかと聞かれるが、あんな可能性こんな可能性もありますがはっきりしませんと言うしかない。

 不明熱の様相を呈してきて、國松淳和先生の本を読み返して新著も購入した。年齢が高すぎるし、どうなんだろうか。まずは感染症、悪性腫瘍(特に血液系)、リウマチ膠原病(血管炎系)の検索になるが、攻め方が出てこない。今回高熱の間隔が短いのも気になる。

 「これって自己炎症性疾患?」と思ったら 疑い,捉え,実践する

 

 

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