sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:少女は自転車に乗って

2014-08-15 | 映画


このサウジアラビアの映画をDVDで見て、
イスラム教国の映画ということで去年宝塚映画祭で上映した
「ペルシャ猫を誰も知らない」という映画のことを思い出しました。
「ペルシャ猫を誰も知らない」感想

どちらも同じような問題が同じように見られます。
でも、「少女は」の方はそれを声高に訴えるのではなく、
そこに住む人々の楽しいことや悲しいこと苦しいことへの共感を
見ている人に持たせるような柔軟で暖かい描き方の映画でした。
(「ペルシャ猫」の方もラストは悲しいんだけど、
そこで反抗する人たちのことは悲愴な感じじゃなく淡々と描かれてます)

イスラム教国のマレーシアに長く住んだので
そこに住むムスリムの人たちには、とても親近感を感じます。
こういう映画をもっと見たいけど
サウジでは、映画を見ることさえ禁止されてて
そこで映画を撮るのは大変な苦労だったようです。
「ペルシャ猫」の方もそんな感じでしたね。
だから、こういう国の映画がざくざく見られるようになるのは、
まだずっと先のことかもしれませんね・・・。

おてんばで負けず嫌いで女性に対する戒律もあまり気にしない少女が
(かといって反抗的な風にも見えない。ただ、のびのびと自由な感じ。)
自転車がほしくて、自転車を買うために
賞金のもらえるコーランの暗唱大会の勉強を必死でする話。
・・・と云うように聞いてたので
その、猛勉強ぶりが感動的に描かれてるのかなと思ってたら
全然違った。
そこは、案外時間的にも内容的にもあっさり描かれてて
あらすじをこんな風に云うと、わたしのように誤解してしまうかも。

少しドキュメンタリータッチで、この伸び伸びした少女の日常が
とても瑞々しく描かれています。
少女の母親が、男の子を産めそうな第二夫人を探してる夫をつなぎとめようと
苦悩する様子とか、
少女の学校内での戒律に従った厳しい教育の様子とか、
少女の幼なじみの男の子とのかわいい関係とか、
ディテールがとてもよくて、誰でも共感できる普遍性もあると思う。
ラストも清々しい。

宗教の問題は微妙だけど、イスラムの戒律を異常だ、女性差別だ、
人権問題だと外側から声高に言っても仕方ないかなと思う。
そこに住んでる人は、わたしたちと同じ普通の人たちです。
マレーシアに住んだ8年でもそう思ったし
こういう映画を見ても、つくづくそう思う。
全く理解できない宗教に従ってる特殊な人たち、ではないのです。
この映画のラストのように、
過激な変化ではなくても人の意識は少しずつ変わってきているのかなと思うし
どんな人も自由に生きられる社会になって行くといいなと思います。
今の時代の普通の人の意識の変化を
大声の反抗ではなく、小さな声で優しく描いていて、
とてもいい映画と思いました。

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