sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:父子草(1967)

2016-11-30 | 映画
今年の宝塚映画祭で見た、渥美清主演の古い映画の1本。
1967年の東宝・宝塚映画で、木下恵介脚本、丸山誠治監督。

ガード下のおでん屋で、渥美清が飲んでいるところに若い石立鉄男が来るんだけど、
若者は常連客で、東大受験に失敗して、今は働きながら予備校に通う苦学生。
アルミの四角いお弁当箱に白いごはんをいっぱい詰めてきて
おでん屋で幾つかおでんを頼んで、それでごはんを食べて夜警の仕事に行くのです。
この苦学生の好青年に、渥美清がそれはもうひどく絡むのよ。
事情があるにしてもこの絡み方はないわぁ、わたしが女将ならとっとと追い出す、と
ついお店の人視線になってしまう、元カフェオーナーのわたし。(笑)
本当に、ただのいちゃもん、難癖、やつあたり、声のでかい下品なおっさん。

渥美清は、戦争でシベリア抑留中に行方知れずになっているあいだに、
日本の妻が弟と結婚してしまって、帰国後も会えないまま身を引いたので、
この若者を息子のように構いたくなってのことだったのですが、
そのうち仲良くなり、励ましたり叱ったりしながら支えていくのです。

映画の中で、俺は実は、生きていた英霊なんだ、というようなセリフがあるのですが
おでん屋の女将(淡路恵子)は「まあ…そうだったの」と同情をよせ話を聞きます。
もう亡くなったと思われていた兵隊さんが無事復員し、
「生きていた英霊」と呼ばれたのでしょうが、いろんな物語があったことでしょう。
妻子が他の男の家族になっていたような話は、けっこう多かったのかな。
きっと、そういう題材の映画もいくつもあるんじゃないのかと思う。
とても悲しいしドラマチックだし。
外国の映画でもいくつかあった気がする、思い出せないけど。
戦争がまだついこの前のことで、誰もが覚えていた時代なんだなぁ。

石立鉄男は、子供の頃見ていたドラマ「パパと呼ばないで」などの、
くるくるパーマのアフロ頭でマンガチックな大げさな演技の人と思ってたけど
古い映画で若い頃を見ると、イケメン青年の役を案外やっているみたいですね。
若いころ顔がしゅっと細く顎がとがっていたのが
年とともに四角いごっつい顔になる、ディカプリオ型の男性だったのね〜。
この映画の中ではコミカルな役ではないのですが、
でものちの大げさな演技の片鱗はすでにあって、目の演技など今見ても、
ちょっとオーバー、やりすぎ、舞台っぽい、と思うところがあるように思う。

渥美清は、まあ渥美清ですね。
義理堅くて人情に弱く感激屋でまっすぐなおじさん、の役。
他の俳優では、若者の女友達役の星由里子がとても可憐でかわいいです。

ラストは、ちょっと物寂しい終わり方を予想してたのに
なんだか大団円のハッピーエンドで、肩すかし感。
ここは、若者を幸せにして、渥美清はひとり去っていくみたいな感じの方が
映画としての格は上がりそうだけど、
この時代の温かいメロドラマの典型のひとつとしては、まあこれでいいのかな。

ちなみに父子草というのは、映画の中では撫子の花のことを言っていますが
普通に父子草というと、母子草を地味にみすぼらしくしたような雑草です。

映画、YouTubeに、細切れになって全部アップされてるみたい。

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1 コメント

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Unknown (nbgb)
2019-10-26 13:32:23
んーン
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