sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

「ことり」

2016-05-03 | 本とか
春から秋には、よく植物の図鑑を見ていて、それを趣味と言っていいと思うんだけど、
今はことりの小説を読んでいるので、1冊だけある文庫サイズの鳥の図鑑を見ています。
鳥は小さくて丸っこいのが好きだなぁ。
カラフルな鳥も多いけど地味な色のもかわいいです。

小川洋子さんの小説ですが、ここに出てくる、人の言葉をやめたお兄さんの作る
小鳥のブローチがほしくてたまりません。
ことり模様のキャンディの包み紙を何10枚?も重ねて糊付けしたものから切り出した
立体的なことりのブローチで、カラフルだけどワックスの少しレトロで半透明な
ぬるっとした質感が少し物悲しいような、小さなことりのブローチを想像します。

ことりのおじさん、と、のちに呼ばれるようになった主人公は
人間の言葉を話さないお兄さんがいて、お兄さんは鳥のように歌うのですが
その言葉をわかるのは主人公だけで、でも主人公は鳥の言葉は話せない。
お兄さんは人とのコミュニケーションをしないので、主人公が仕事をし
お兄さんは家にいるという形でお兄さんがなくなるまで一緒にいます。
でも主人公はお兄さんをとても愛してるんですねぇ。
敬い、愛し、大事にしていました。
主人公も決して社交的ではなく、人間と付き合うのが得意ではないので、
その後、誤解を受けたりすれ違ったりして、悲しい出来事も起こります。
全体にちょっと物悲しいトーンのように思うけど、そうでもないのかもしれない。
悲しいのはこの二人ではなく、年をとることかもなぁと、ちょっと思って、
でもそういうことは、わたしが若かったら思いもしなかったかもと思った。
年をとると孤独は、惨めに見えるのですね。
若い時の孤独は、清々しくさえ見えるのにな。

小説を読んでいると、この(社会的な生き物としては)不器用な兄弟を愛おしく思うし
共感も同情もするのだけど、実際に近所にこういう人がいたら
よくわからない気持ち悪い人と、わたしも思ってしまうのかなぁ。
ことりのブローチも、よくわからない変なものと思ってしまうのかなぁ・・・。

写真はステキ手芸家のお友達が作ったブローチ。

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