sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:トノバン

2024-07-17 | 映画


めっちゃ良かった!
ドキュメンタリーなのに2時間くらいあるのは長いなぁと思ってたけど、見たらめっちゃ良かった。
自分の生きてきた時代と重なって流れる曲流れる曲ほのかに懐かしく、
最近見た音楽ドキュメンタリーの中で一番好きかもしれない。
映画50本見ても1回くらいしか買わないパンフレットを買ってしまったくらい。

どなたかのレビューで退屈したというようなのを見て覚悟して見に行ったのだけど、
自分がかすかにでも知っている音楽と時代ばかりだったせいか、すごく興味深く見ました。
わたしはあまり音楽を聴かない人間なのですが、
加藤和彦と安井かずみカップルの佇まいにはずっと憧れを持っていたし
もっと評価されてもいい人なのでは?と思っていました。
デビュー時からずっとダサいことを一度もしたことがないスマートの代名詞のような人でした。

90年代以降の言及が全然なくて、スーパー歌舞伎の音楽監督とかもやってたのに
新しい業績がないまま「死んじまっただ〜♪」という描き方に疑問を持ったという友達もいた。
確かに、彼の音楽人生の前半に集中してる映画ではあった。

そういえば本人の語りがほとんど出てこないんですよね。
写真はたくさん出てて、演奏シーンの記録映像などは結構たくさん見せてくれたけど
本人が自分のことや自分の人生を話すような語りの記録がほとんどなかった(ワンシーンだけ?)。
そしてプライベートに関してもあまり描かれていなかったですね。
最初の妻で一緒にサディスティック・ミカ・バンドをやったミカと別れた経緯も、
サラッと「帰ってこなかった」と誰かのインタビューでの一言くらいしかなかったし、
2度目の妻、安井かずみが亡くなった時や、その後の鬱の苦しみや
さらには彼の自殺のあたりのことも、彼の心情だけでなく事実でさえほとんど触れられなかったので、
これは一人の人としての彼や彼の人生を多面的に描こうとする映画ではなく、
彼の音楽活動に的を絞って時代との関わりも交えながら描いた記録なのでしょう。
加藤和彦個人の内面のことなどももっと知りたい気がしますが、
60年代〜80年代までの懐かしい音楽を聴いているだけでも楽しかったです。

あと、どうでもいいんだけど、若い頃の彼の映像を見るとヒョロリと痩せて背が高く
マイルドで優しい雰囲気でどことなくふわんと飄々としてる感じが
どことなく学生時代に京都でジャズをやってた息子に似ている気がして新たに親しみを感じました。

おまけ:1970-1987 加藤和彦CM集(改訂版)