sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:細雪(1950年版)

2015-12-11 | 映画


市川崑のを以前見たときの感想がこちら→「細雪」
今回のは、宝塚映画祭で見た1950年の阿部豊監督のモノクロ映画です。
阿部豊かという人は10代で渡米し、ハリウッドで無声映画の俳優をやった後
日本に戻って、30歳で監督デビューした人ということで
中々興味深いですね。
戦争中は国策戦争映画を作っていたそうですが、
谷崎潤一郎の原作「細雪」は、戦争中に執筆、連載されていたのを
この戦時に女子供の家の話など、と非難、禁止された小説なので、
それを国策戦争映画を作っていた監督が撮るというのは
なんだか皮肉な感じもしますね。

こちらのほうが原作に忠実で
映画祭で見られた年配のお客様にも評判がよかったですが、
わたしは市川崑版の方が、女優さんの華やかさでまさに豪華絢爛で好きです。
阿部豊版は、今から見るとどこか時代劇みたいな距離感があり、
まだ世界を十分に知らない時代の日本のこじんまりした中での
豪華さにとどまっている感じはしますが、
この時代のリアリティがあるのは、やはり古いほうかもしれませんね。
お家に関しては、大阪の家も芦屋の家も、市川崑版より立派に見えました。
両方見て比べられて本当に興味深くて、良かったです。

配役の比較もとても面白いです。
三女の雪子役、吉永小百合のおっとりした美しさには説得力があるけど、
山根寿子のなんだかどっしりした落ち着きも、正しい気はする。
幸子役は、佐久間良子も轟夕起子もどちらも
少し年を取ってもまだ色香と女性のかわいさが残る感じが共通していますね。
佐久間良子は美しすぎて震えましたが。
高峰秀子の奔放な四女役はすごく似合ってましたね。
華やかで、自分勝手で、自立したいのに贅沢と別れられない末っ子役。
自由の代償をたっぷり払うことになり、波乱万丈の男性関係です。
堕ちていくときのはすっぱで自堕落で投げやりな迫力もすごい。

映画の最後は、市川崑版は、明るさも暗さも入り混じりつつきれいですが
阿部豊版は高峰秀子の後ろ姿がなんとも重苦しく寂しい終わり方です。

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