相変わらず忙しくしております。9月にKindleテキストの全巻出版が完了しましたので、目次により、内容の紹介をさせていただきます。まずは第3巻の前半について。
第3巻は、教育の制度と経営について論じた教員養成用テキストです。学校教育に関わる人であればだれでも知っていてほしいことを内容にしており、対象は幼小中高のどの学校種でも対応しているつもりです(学校種ごとの粗密はあります)。
必修科目だけど教師を目指す学生がどう学修すればよいかわからないという声が聞こえがちな「教育の社会的事項・制度的事項・経営的事項」に関する科目。制度とは目的達成のための仕組みであり、経営とは目的達成のための仕組みの組織的な働きというように、シンプルに定義して、内容を構成しました。教育の制度と経営を教職生活や教育実践の「足場」として位置づけ、実践家に必要な見方・考え方を問題にしたつもりです。現代的・歴史的・国際的視点をもって、教育の目的を達成するための制度と経営について分析しています。
第1部は、社会のあり方と教育制度のあり方が関わっていることを様々な視点で検討しています。第1章では、現代社会において学校教育制度をどう改革していくべきか考察しました。格差社会・AI社会・人口減少社会における教育制度の課題と、「主体的・対話的で深い学び」(個別最適化された学修などの検討もしています)と「オンライン学習」について論じています。2021年に論文化した内容を少し訂正したものです。第2章は日本の国民教育制度と学校体系について歴史的に検討し、第3章は外国の学校体系や教育制度と比較しながら日本の学校体系・教育制度の特徴を考察しています。なお、第2章は2020年のミネルヴァ書房発行のテキストに寄せた論考に大幅に加筆したものです。第4章は、学校の社会的役割について、日本における学歴社会の歴史と、雇用と学校の関係に注目して論じました。第5章は、日本の就学制度の役割について、公教育の私事化・公共性の問題と日本の就学制度史を踏まえて考察しました。第6章は、中等教育制度の役割について、欧米の歴史と日本の高等学校の歴史を踏まえて考察しています。第7章は、学校がジェンダーにどう向き合うべきか、日本の女子教育史と近年指摘され始めた「男子問題」に注目して論じました。第1部では、現代的・歴史的・国際的視点によって、国民教育・学校体系・学歴・就学・進学・就職・ジェンダー形成等に注目しながら、これまでとこれからの教育制度のあり方を考察しております。
白石崇人『教育の理論③教育の制度と経営―社会の中の教育』Kindle、2022年。
序 章 ―教職生活や教育実践の足場を確かめる
第 1 部 社 会 と 教 育 制 度
第1章 これからの教育制度とは?―格差・AI・人口減少社会と教育
1.未来の社会が要求する教育制度の変革
(1)格差社会と教育制度
(2)AI技術を前提とした社会と教育制度
(3)人口減少社会と教育制度
2.教育方法の変革と教育制度の課題
(1)「主体的・対話的で深い学び」の実現
(2)オンライン学習への注目と課題
第2章 日本の教育制度はどのようにできたか?―江戸から平成まで
1.明治教育の出発点
(1)江戸から明治へ
(2)「教育」とは何かをめぐって
2.国民教育の制度化
(1)共通教育と義務教育を目指して
(2)普通教育の模索
(3)普通教育と人材養成
3.国民教育の影響
(1)就学慣行の定着と臣民教育
(2)立身出世主義と良妻賢母主義
(3)学校・家庭・社会
4.国民教育始動の意義
5.大正・昭和・平成期の学校体系
(1)大正期から戦後教育改革までの学校体系
(2)1947年以後の学校体系の変遷
第3章 どんな教育制度がありうるか?―学校制度の国際比較
1.世界の学校体系の多様性
2.公教育制度の多様性―オランダと日本の比較から
第4章 学校の社会的役割とは?―学歴・資格・雇用・教育
1.日本における学歴社会の形成
(1)近世身分制社会からの脱却
(2)様々な学歴社会の形成要因
2.学歴社会と企業の人材育成
(1)企業と学校出の人材
(2)学歴社会から資格社会へ
3.学校の社会的役割―機会均等・人材配分・資質涵養
第5章 日本人はなぜ就学するようになったか?―私事化と公共性の狭間で
1.就学するのは誰のためか?―教育の私事化と公教育
(1)教育の私事化
(2)教育の公共性
2.近代日本における就学というライフスタイルの出現
(1)学齢制度の定着
(2)学齢の始期と終期はいつか
第6章 初等後教育・中等教育とは何か?―普通教育、進学準備、職業準備
1.中等教育制度の歴史
(1)中等教育制度の3つの源流
(2)20世紀アメリカにおける前期・後期課程と男女共学の成立
2.中等教育内容の発展
(1)古典語・母国語・外国語をめぐる言語教育の模索
(2)実学としての数学・自然科学・実業科目
(3)自治・訓練による人格形成
3.高等学校の歴史
(1)旧制高等学校の歴史
(2)新制高等学校の創設
(3)1960~70年代における高校教育の拡大
4.高校教育の質的転換
(1)1990年代以降の高校をめぐる状況変化
(2)2014年12月の中教審答申による高校教育の質的転換構想
第7章 学校はジェンダーにどう向き合うか?―別学・共学、女子・男子問題
1.女子教育の成立
(1)良妻賢母主義の歴史的意義
(2)高等女学校の設立と良妻賢母主義教育
2.第一次世界大戦後の女子教育の転換
(1)女子体育の改革と奨励
(2)女子教育における知育・徳育の改革と奨励
(3)女子の教育のゆくえ
3.現代日本における男子の教育問題
第3巻は、教育の制度と経営について論じた教員養成用テキストです。学校教育に関わる人であればだれでも知っていてほしいことを内容にしており、対象は幼小中高のどの学校種でも対応しているつもりです(学校種ごとの粗密はあります)。
必修科目だけど教師を目指す学生がどう学修すればよいかわからないという声が聞こえがちな「教育の社会的事項・制度的事項・経営的事項」に関する科目。制度とは目的達成のための仕組みであり、経営とは目的達成のための仕組みの組織的な働きというように、シンプルに定義して、内容を構成しました。教育の制度と経営を教職生活や教育実践の「足場」として位置づけ、実践家に必要な見方・考え方を問題にしたつもりです。現代的・歴史的・国際的視点をもって、教育の目的を達成するための制度と経営について分析しています。
第1部は、社会のあり方と教育制度のあり方が関わっていることを様々な視点で検討しています。第1章では、現代社会において学校教育制度をどう改革していくべきか考察しました。格差社会・AI社会・人口減少社会における教育制度の課題と、「主体的・対話的で深い学び」(個別最適化された学修などの検討もしています)と「オンライン学習」について論じています。2021年に論文化した内容を少し訂正したものです。第2章は日本の国民教育制度と学校体系について歴史的に検討し、第3章は外国の学校体系や教育制度と比較しながら日本の学校体系・教育制度の特徴を考察しています。なお、第2章は2020年のミネルヴァ書房発行のテキストに寄せた論考に大幅に加筆したものです。第4章は、学校の社会的役割について、日本における学歴社会の歴史と、雇用と学校の関係に注目して論じました。第5章は、日本の就学制度の役割について、公教育の私事化・公共性の問題と日本の就学制度史を踏まえて考察しました。第6章は、中等教育制度の役割について、欧米の歴史と日本の高等学校の歴史を踏まえて考察しています。第7章は、学校がジェンダーにどう向き合うべきか、日本の女子教育史と近年指摘され始めた「男子問題」に注目して論じました。第1部では、現代的・歴史的・国際的視点によって、国民教育・学校体系・学歴・就学・進学・就職・ジェンダー形成等に注目しながら、これまでとこれからの教育制度のあり方を考察しております。
白石崇人『教育の理論③教育の制度と経営―社会の中の教育』Kindle、2022年。
序 章 ―教職生活や教育実践の足場を確かめる
第 1 部 社 会 と 教 育 制 度
第1章 これからの教育制度とは?―格差・AI・人口減少社会と教育
1.未来の社会が要求する教育制度の変革
(1)格差社会と教育制度
(2)AI技術を前提とした社会と教育制度
(3)人口減少社会と教育制度
2.教育方法の変革と教育制度の課題
(1)「主体的・対話的で深い学び」の実現
(2)オンライン学習への注目と課題
第2章 日本の教育制度はどのようにできたか?―江戸から平成まで
1.明治教育の出発点
(1)江戸から明治へ
(2)「教育」とは何かをめぐって
2.国民教育の制度化
(1)共通教育と義務教育を目指して
(2)普通教育の模索
(3)普通教育と人材養成
3.国民教育の影響
(1)就学慣行の定着と臣民教育
(2)立身出世主義と良妻賢母主義
(3)学校・家庭・社会
4.国民教育始動の意義
5.大正・昭和・平成期の学校体系
(1)大正期から戦後教育改革までの学校体系
(2)1947年以後の学校体系の変遷
第3章 どんな教育制度がありうるか?―学校制度の国際比較
1.世界の学校体系の多様性
2.公教育制度の多様性―オランダと日本の比較から
第4章 学校の社会的役割とは?―学歴・資格・雇用・教育
1.日本における学歴社会の形成
(1)近世身分制社会からの脱却
(2)様々な学歴社会の形成要因
2.学歴社会と企業の人材育成
(1)企業と学校出の人材
(2)学歴社会から資格社会へ
3.学校の社会的役割―機会均等・人材配分・資質涵養
第5章 日本人はなぜ就学するようになったか?―私事化と公共性の狭間で
1.就学するのは誰のためか?―教育の私事化と公教育
(1)教育の私事化
(2)教育の公共性
2.近代日本における就学というライフスタイルの出現
(1)学齢制度の定着
(2)学齢の始期と終期はいつか
第6章 初等後教育・中等教育とは何か?―普通教育、進学準備、職業準備
1.中等教育制度の歴史
(1)中等教育制度の3つの源流
(2)20世紀アメリカにおける前期・後期課程と男女共学の成立
2.中等教育内容の発展
(1)古典語・母国語・外国語をめぐる言語教育の模索
(2)実学としての数学・自然科学・実業科目
(3)自治・訓練による人格形成
3.高等学校の歴史
(1)旧制高等学校の歴史
(2)新制高等学校の創設
(3)1960~70年代における高校教育の拡大
4.高校教育の質的転換
(1)1990年代以降の高校をめぐる状況変化
(2)2014年12月の中教審答申による高校教育の質的転換構想
第7章 学校はジェンダーにどう向き合うか?―別学・共学、女子・男子問題
1.女子教育の成立
(1)良妻賢母主義の歴史的意義
(2)高等女学校の設立と良妻賢母主義教育
2.第一次世界大戦後の女子教育の転換
(1)女子体育の改革と奨励
(2)女子教育における知育・徳育の改革と奨励
(3)女子の教育のゆくえ
3.現代日本における男子の教育問題
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