老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
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原発の40年ルールとは何だったのか?   ~その2~ 

2016年06月21日 21時46分25秒 | 原発関係
≪この項は、4月21日付でアップしたものを、一部修正・加筆の上で、再度アップさせていただきます。≫

 原子力規制委員会は、関電が申請していた稼働後40年を経過した関電高浜原発1・2号機の運転期間申請に関して、4月20日付けで新規制基準に合致しているとして安全審査について検査合格を出していましたが、この6月10日には工事計画を認可し、6月20日に最終的に運転期間延長を認可しました。
これにより、関電は工事に取り掛かり、2019年10月頃から15年間ほどの運転延長を目指すことになります。

 しかしながらです。

◆そもそもこの原発に関わる新規制基準は福島原発の事故を受けて、平成25年7月に施行されたものですが、この基準承認審議に際しては、“40年ルール”は原発に対する基本的な理念で、「延長が認められるのは極めて稀なケース」という説明があったと思います。
「安全基準」として定めたものを、自らの手でいとも簡単に覆してしまうことには本当に“空いた口が塞がらない”状態ですが、これは、原発の科学的な安全性よりも、現政権の掲げる2030年における電源構成の内、原発を20~22%としている目標に迎合した、政治的な判断優先でしょう。

◆そもそも、この原発に関する規制新基準は福島原発のような事故を防ぐために、巨大な津波や地震に襲われても電源や冷却機能を確保するための万全の対策などが折り込まれているはずです。
しかし、この規制新基準は“世界一厳しい基準”だとしながらも、田中委員長自ら“100%完全とは言えない”と発言しているように、巨大地震や津波などの天災に対して100%の保証がある訳ではないのですが、更に大きな問題は自分たちが決めた規制基準であるプラント/設備などの技術的な基準も、いとも簡単に自らが変更していることです。
即ち、1次系冷却設備の耐震性確認時期については先送りされたようですし、難燃性ケーブルへの切り替えも一部は違う対策を容認したとのことです。

 要するに、高浜原発1・2号機の延長認可期限は今年7月7日なので、これに間に合わせるように許可を出し、運転延長を認めようということで、まるで“再稼動ありき”が前提で、自ら決定した新基準を自ら骨抜きしている状態では、40年ルールなど全くないのと同然と言えるでしょう。

 このような規制委員会の姿勢や、万一の場合の避難体制の不備などを心配した住民の申請で、高浜3・4号機の運転差し止め判決が出されたことなど、どこ吹く風の原発再稼動に向けた関電/政府のなりふり構わない姿勢には本当に唖然とします。(まさ)