老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

消費税の増税を再度延期?

2016年06月06日 20時05分48秒 | 政治・経済・環境・核兵器など
 政府は、サミット終了後直ちに消費税増税の再延期を打ち出しました。この国の政治方針は、大局的な見地に立っての我が国の行く末を考えてのことではなく、“どうしたら目先の選挙で勝てるか”だけで決まるということを、改めて露呈しました。

◆そもそも、消費税は1989年(平成元年)に“社会保障の充実に向ける”ということで、その導入が決まったはずです。その主目的であったはずの“社会保障の充実”はどのような位置付けになっているのでしょうか。

◆平成15年10月からは10%に上がるはずだった消費税は、平成14年11月に「増税を1年半伸ばして、17年4月からとする」ということで衆議院を解散して、自民党の大勝利となりました。
その時に「再び延期することはない。ここに皆さんにはっきりと断言します。必ずや(増税が可能な)経済状況をつくりだす」(毎日新聞より)と発言したのは、紛れもなく現首相ですし、このような言葉を“新しい基準により”と訳のわからない言いわけで、わずか1年半で憶面もなくあっさりと覆す…。
この国の政治の最高責任者の言葉の軽さを、又もや見せつけられました。

私たち世代は、このような政治家の口先だけの約束など信じられない様な体質になっていて、“またか?”という反応で、“2020年には基礎的財政収支の黒字化を目指す”という約束も見限っていますが、流石に今回は余りにも酷く、選挙権を持つことになった若い有権者はどのように思うでしょうか?

◆首相は2012年に就任以来アベノミクスとか3本の矢なる訳のわからない経済政策を打ち出し、その効果を自我自賛していましたが、その効果が一向に現れないと判ると、消費増税の実行可否を問われた場合には“リーマン・ショックや東日本大震災のような事態が起こらない限り、延期はない”との予防線を張りだしました。
更に、日銀も巻き込んで「マイナス金利」という、これも理解に苦しむ政策まで打ち出しましたが、それも効果なく、挙句の果ては自分が明言した約束の破棄に懸命な道均しをしてきました。

◆サミットで、“現在の世界経済はリーマン・ショック前に似ている”と他国が納得できない様な発言をして、各国からも“これは、サミットに向けた発言ではなく、消費税増税再延期をするための国内向け発言”と見透かされていました。

◆その後、首相は「このサミットで世界経済の危険性の認識があった」との理由で、増税延期を打ち出すに到り、与党内部でもこの方向で合意されたようです。
そうなると、又もや今まで根本的な対策をなおざりにされている我が国の財政問題(赤字国債の増加と、社会保障費の捻出)が、更に深刻な事態を迎えることは必然でしょう。

◆私たちでの一般的な判断としては、納得できる理由で“消費税増税ができなくなったので、これに対応して国家予算の支出の中から国会議員や公務員の削減とか経費削減を図りたい”というのであれば、まだ少しは検討の余地があるのでしょうが、どうやらこのような思考経路はない様です。

◆また、不思議なのは、主要野党がそろって来春の消費税増税に反対していることで、民進党に到っては不足財源には赤字国債の発行を進んで要求する始末で、各党とも今後の日本の在り方ではなく、目先の選挙で如何に有権者を引きつけられるかということしか考えておらず、この点では現在の政権や与党と全く同罪と言えるでしょう。

★このような状況では、消費税の増税は間違いなく再延期されるでしょう。
その結果として、私たち世代だけでなく、むしろ将来この国を背負う若い世代にとって、昨年度末で1,050兆円を超過した我が国の財政赤字はその解消の見通しもないままに非常に重たく圧し掛かってくるでしょう。
この原因は、“将来の子供や孫たち世代への負担を考えずに、現時点での少しでも負担が少なくて楽な制度を提案する政治”を選んだ、我々国民の大きな責任です。
またそれを見越して、各政党共に非常に無責任な政策で有権者をコケにしているのです。
もうそろそろ、“私たちが良ければ、それで良い”という無責任な態度を本気で見直して見ませんか。(まさ)