「不完全な時代」坂村健著より。
実に気になるワンフレーズだった。どんな統計かはここには書かれていないが、この後に続くのは「当然多いのは文系だ」となっていた。
逆に多いのは理系だとばかり思っていたので意外な気がした。坂村氏はこれほどまで差があると、「金がすべてではない」「好きな道だから頑張って」というのも虚しく感じられるという。
大学志望での理系離れはひどいらしい。工学部の志願者はピークから比べて6割減だという。就職には苦労しない筈の電子工学科は学科が維持できないほど学生が減っているという。
これは日本ばかりではなく、先進国といわれる国ではどこもそうらしい。その分野で生きていこうと思わせるものないのだろうか。知らなかったが、フレーズにもあげたように、生涯賃金の格差もその要因らしい。
組織内の評価は管理職にならなければ、給料はそれほど多くは望めない。そして理系の業務は管理職のキャリアに直結しない。今は能力給が当たり前になっている。もし、理系でも管理職になれば高賃金も可能なのだろう。
また理系の場合、技術者としての能力が発明などによって大化けすることもたまにはあるだろうが、それは例外と考えたほうがよさそうだ。だからと言って文系で高学歴、難関有資格者が有利とは一概にも言えないだろう。
司法試験に合格したからと言って、即収入につながるわけでもない。仕事が得られるかどうか、そこから先は、本人の努力、実力だけが問題になってくる。厳しいものだ。